2021 Fiscal Year Research-status Report
非特異的腰痛の病態解明にための基礎研究ー仙腸関節形態とメカニカルストレスの関連性
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20K19450
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西 啓太 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60823292)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨密度 / 骨形態 / 境界条件 / 有限要素法 / 仙腸関節 / 骨盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限要素法は複雑な形態をもつ物質の力学解析を実施するための計算手法であるが、ヒトの骨盤は特に形状が複雑で、多くの靭帯や軟骨を含むため、より応用的な有限要素解析手法の技術習得が課題となった。そこで、本年度は「CT画像を基にした有限要素法の応用的解析技術の習得」を主目的に掲げ、骨盤に限らず椎骨や頭蓋骨、四肢骨の有限要素解析を実施して、解析結果の精査を実施してきた。物質の強度に関しては、骨量ファントムを用いた定量的CT画像から骨密度を算出し、あらゆる部位の骨密度を比較して、その結果を考察した。この研究から得られた知見は、現在英文雑誌に投稿中である。また、骨形態や骨強度の影響や靭帯などの支持機構の影響を調査するために、脊椎圧迫骨折による脊椎骨の圧潰変形が進行した例と正常脊椎構造の例の骨に加わる応力を比較した。その結果、脊椎骨の椎体部に加わる応力負荷に違いが確認され、脊椎圧迫骨折後の脊柱生体力学において新たな知見を得ることができた。この結果は、近日中に関連学会にて報告する予定である。これらの経験をもとに、骨盤の有限要素解析に必要な骨強度、荷重及び固定条件、靭帯などの付属装置などの設定条件が決定し、これまでよりもより正確な骨盤の有限要素モデルが作成できるようになった。そして、今後は仙腸関節に加わるストレスの影響因子として注目している骨盤形態と仙腸関節形態を三次元的に定量評価し、仙腸関節軟骨や周辺の靭帯に加わるストレスとの関連性を調査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来の解析手法では、想定外の結果が得られることが確認されたことから、解析手法の見直しが必要となり、その対応に時間を必要とした。また、解析精度を向上させるために、さまざまな骨で有限要素法を実施し、結果の精査を行っていたため想定より時間がかかってしまった。さらに、コロナ禍の影響で、有限要素解析ソフトのユーザーを対象とした講習会等にも参加ができなくなり、解析手法を手探りで検討していくことが多くなったことも、想定よりやや遅れている要因となっている。現在の解析手法では、殆ど想定外の解析結果は出現しなくなっているが、1体あたりの解析時間がかなり必要なため、その効率化が今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
有限要素モデル作成の効率化による解析時間の短縮が課題である。また、コロナ感染状況をみてメーカーや他のユーザーとの情報交換の機会をつくり、効率化を図っていきたい。可能な限りの症例数を解析し、統計学的な傾向が確認されるよう解析を進めていきたい。CT画像データに関しては、十分な数のデータを確保しているため、問題はないと考える。これらの問題を解決し、骨盤や仙腸関節形態とメカニカルストレスの影響の解明を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、学会出張の機会が減少し、宿泊費、交通費に充てる費用が減少したため。 使用計画:延期となったソフトウェア開発企業主催のユーザー研修会や学会発表などの旅費に充てる予定。
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Research Products
(5 results)