2020 Fiscal Year Research-status Report
主観的もの忘れのある高齢者が困難さを感じやすい生活行為に視線行動が与える影響
Project/Area Number |
20K19451
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
池田 由里子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10448566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視線行動 / もの忘れ / 地域在住高齢者 / 生活行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域在住高齢者が主観的もの忘れを訴える段階で低下しやすい特定の生活行為に着目し、視線行動との関連性を検討する本研究課題の1年目の実績は以下の通りである。 主観的もの忘れの段階から困難さが生じやすい特定の生活行為は道具の使用・操作、物品管理、道具の選択、モニタリングの要素が含まれていることを先行研究により明らかにした。今年度はこれらの4つの要素を含んでおり、かつ、身近なADL場面の1つである冷蔵庫管理に着目した。まず、眼球運動測定装置を用い、冷蔵庫の場所や冷蔵庫の中身を示した3枚の静止画像を用いた探索課題を実施した。次に、低下しやすい特定の生活行為27項目(例:食材を洗う、食材を剥く・切る・つぶす)を生活行為調査表にまとめ「はい/いいえ」で回答を促した。さらに、主観的もの忘れについては「はい/いいえ」の質問によりその有無を把握し、認知機能検査として簡便に実施可能なMontreal Cognitive Assessment日本語版(MoCA-J)を実施した。現時点で収集した対象者数は通所サービス利用中の5名(平均年齢91.2歳、女性のみ)であり、MoCA-Jの結果(平均17.2点)から認知機能がやや低下している集団であることが推察された。視線行動の詳細な分析は行えていない。今後、対象者数を増やしつつ、視線行動課題から得られた結果(視線の注視対象数、注視時間、視線移動距離、先行注視数、短時間注視)と生活行為調査表、MoCA-Jの結果を分析し、関連性を詳細に検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大の影響により研究協力施設への立ち入りが制限され、データ収集開始に遅れが生じた。また、研究協力施設であるコープかごしまが主催する学習会が中止となり、さらに、介護の森オアシスケアへの研究協力依頼が保留となっていることもデータ収集の遅れに影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、データ収集開始に遅れは生じているが、2021年3月中旬よりデータ収集を開始し順調に進んでいる。また、2021年度はコープかごしまの学習会が予定されていることや介護の森オアシスケアへの協力依頼を行える状況にあることから、当初の研究計画の遂行を維持できる予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響により、旅費を必要としない範囲でデータ収集を行ったため旅費を使用せず次年度使用額が生じた。次年度はデータ測定交通費に加え、今年度得られた知見を学会で発表するための交通費・宿泊費、また、国内雑誌への論文投稿の投稿料に使用する予定である。
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