2022 Fiscal Year Research-status Report
主観的もの忘れのある高齢者が困難さを感じやすい生活行為に視線行動が与える影響
Project/Area Number |
20K19451
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
池田 由里子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10448566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視線行動 / もの忘れ / 生活行為 / 地域在住高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域在住高齢者が主観的もの忘れを訴える段階で低下しやすい特性の生活行為に着目し、視線行動との関連性を検討する本研究課題の3年目の実績は以下の通りである。 対象者は39名であった。内訳はデイサービス利用者19名(整形疾患が主)、シルバー人材センター登録者20名(認知機能低下を疑う既往なし)、平均年齢84.7±4.3歳、女性のみ、教育歴10.9±1.7年、独居48.7%であった。対象者の視線行動(眼球運動スピード、注視時間、注視回数)と詳細な認知機能(Montreal Cognitive Assessment日本語版。例;視空間機能・実行機能、注意機能など)、生活行為の下位項目(生活行為工程分析表。例;食材を洗う、食材を剥く・切る・つぶすなど)を具体的に分析した。重回帰分析の結果、眼球運動スピードは視空間機能・実行機能(β=0.34、p=0.03)に関連し、注視時間は生活行為の下位項目に影響を与えていない可能性が示唆された。一方で、注視回数は認知機能、生活行為のどの下位項目にも関連性は認めなかった。視空間機能や実行機能の低下による非効率的な視線行動を念頭に置いた生活行為の支援を行う必要性が考えられた。 今後は引き続き、対象者数を増やす努力を行いつつ、新たに検討すべき項目として、目的物を探索するように指示された後の注視開始場所や視線の軌跡の特徴と認知機能/生活行為との関連性を分析しており、結果は学会発表や論文作成を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに進んでいるものの、より多角的にデータを分析するために対象者数を増やす必要があり10名を目標にデータ収集に取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者数を増やすとともに、データ分析を継続し論文化や学会発表を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初の計画より旅費を必要としない範囲で学会発表やデータ収集を行ったため次年度使用額が生じた。次年度は得られた知見を学会で発表するための交通費・宿泊費、また国外雑誌への論文投稿の投稿料に使用する予定である。
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