2021 Fiscal Year Research-status Report
がん患者の前向きな生活適応へレジリエンスを高める心理支援と運動介入方略の開発
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20K19456
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
小泉 浩平 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (60867274)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レジリエンス / 不安 / 身体活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん患者の前向きな生活を支援するには,心理-身体活動に配慮したリハビリテーションが求められる.ストレス対処の概念にある“レジリエンス”は,心理と関連が強く,レジリエンスを高めることは身体活動向上に関連するとされる.レジリエンスを効果的に高める方法にはマインドフルネス・トレーニングがあり,がん患者の心理-レジリエンス-身体活動量の特性を明らかにし,レジリエンスを高める試みは,身体活動の向上につながることが期待される.本研究は,(1)がん患者の身体活動量に対し,レジリエンススコアを共変量としたモデルを作成し,(2)レジリエンスを高める心理的介入と運動効果を高める介入方略の検証を行う. 本年度は,コロナ感染状況の悪化に伴い対象者リクルートが滞った.そのため,(1)に対するプレスタディとして,血液がん患者19名を対象に,陰性情動と日中の身体活動強度の関連を解析した.対象者は日本語版Profile of Mood Statesの緊張-不安を用いて高不安群10名と対照群9名に割り付け,起床時間帯(6-8時),午前(10-12時)および午後(15-17時)の3地点における7日間の身体活動強度の割合を比較した.身体活動の測定はライフコーダGSを用い,運動強度(2分毎の積算)を基に座位行動,低強度身体活動,中等度身体活動,高強度身体活動と定義し,各強度の時間帯で平均値を算出,群と活動強度による分散分析にて解析した.その結果,午前の時間帯に,群と活動強度による交互作用を認めた.多重比較検定では,高不安群の午前の座位行動は対照群と比較して多く,低強度身体活動は有意に少なかった.すなわち,入院中の不安心理の高い血液がん患者は,午前の時間帯に座位行動が多く,低強度身体活動が少ないことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染予防のため, 対象者リクルートが滞ったためである.ただし,前年度からの解析課題であった,身体活動量の解析に対して心理負荷に応じた身体活動の解析を行えたという実績が伴ったことで, 本研究の遅れは最低限度にとどまった.
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Strategy for Future Research Activity |
介入研究の対象者リクルートを開始し,データ取得および解析, 論文化までを実施する予定である. COVID-19の感染対策は落ち着き,現状ではデータ取得が滞らない見通し.取得データは試験群と対照群がそれぞれ25名を予定しており,群別のレジリエンススコアと身体活動量を解析する.サブ解析としてレジリエンススコアを層別化して身体活動量の分散分析を行う.
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Causes of Carryover |
2021年度は旧型の機器によって解析を行ったため,測定で使用する質問紙,自律神経測定器, PCを購入していない.介入研究の実施に伴い,備品費が予定よりも増大し,論文投稿にかかわる費用に使用する計画である.
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Research Products
(2 results)