2023 Fiscal Year Research-status Report
がん患者の前向きな生活適応へレジリエンスを高める心理支援と運動介入方略の開発
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20K19456
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
小泉 浩平 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (60867274)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レジリエンス / 不安 / 身体活動量 / がん / 心理学的支援 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,がん患者の前向きな生活を支援するため,ストレス対処の概念にある“レジリエンス”を強化し,心理-身体活動に配慮したリハビリテーションの開発をすすめている. 本年度は,レジリエンスを効果的に高める手法であるマインドフルネス・トレーニング(MT)による介入効果検証をすすめた.現時点まで取得したデータの解析では,MTに加え,運動療法を組み合わせた強化治療の効果を,レジリエンススコア,心理とストレス応答(交感/副交感神経活性),身体活動量により対象治療群を設定し比較検証した.結果は,強化治療群のレジリエンススコアは成人平均帯域へ向上を認めた.心理スコアに差を認めなかったが,強化治療群の交感神経活性が正常帯域で推移した.身体活動量は一定の拡大を認めたが,強化治療に由来するかは課題が残った.これら結果からは,MTによる瞑想や呼吸法は,否定的な感情や感覚を受容する心理的プロセスを経た結果,レジリエンスを高める効果を推察した.ただし,本結果は,レジリエンススコアの違いによる介入効果は未検証であり,心理および自律神経活性がスコアによって反応が異なるかは継続した検証を要する.また,身体活動量に関しては,運動強度別のデータを抽出し,日中の具体的な身体活動量を比較することも準備し,実臨床に即した解析を検討する.引き続き症例数を増やし,レジリエンススコアで階層化された心理および行動応答の検証を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象者は,免疫能が低下している血液がん患者であるため,COVID-19の影響による接触機会制限は残存している.そのため,データ取得に時間を要している状況である.ただし,研究施設の患者安静度制限は徐々に拡張しており,新たな対象者を取り込み,治療効果測定のための経時的変化を追従している.
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染症対策により,遅れていた対象者のリクルートは年度前半には終了し,解析を進める.解析は,介入による心理データの変化と客観的な指標による裏付け,運動効果の拡張を報告する予定である.解析されたデータは適宜分析し,研究報告書,学術論文,研究発表を行う予定.
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症対策に伴う対象者リクルートの遅延により,研究に遅れが生じたためである.次年度は,介入実施遂行のための物品費および消耗品費,研究成果を学会にて報告するための出張旅費,被験者謝金,研究結果を論文発表するための英文校閲費および論文掲載費の執行を予定している.
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