2023 Fiscal Year Research-status Report
母指CM関節症に対する新しい機能的な母指CM関節装具の開発と効果の検証
Project/Area Number |
20K19458
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐々木 秀一 北里大学, 大学病院, 作業療法士 (30812854)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 母指CM関節症 / 装具療法 / スプリント / 疼痛 / ハンドセラピィ / 特許 / 社会実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
母指CM関節症に対して,当院で開発した新規北里式母指CM関節装具(New Kitasato thumb Splint:N-KTS,特許第6840373号)の実用化を最終目的としている.2023年の第35回日本ハンドセラピィ学会にて,本装具であるN-KTSの有用性に関して報告を行った.研究デザインはエビデンスレベルの高いランダム化クロスオーバー比較試験を用いて検証を行った.コントロール群で使用した装具は,アメリカ製でエビデンスのあるネオプレン製のComfort Cool Thumb CMCSplint(以下,CMC装具,Sillem,2011)を使用した.調査項目は,疼痛のVisual Analogue Scale(VAS),握力,指腹つまみ力,上肢機能評価であるHAND20とし,1ヶ月後の各項目の変化量を比較した.結果は試験参加の同意を18名から得られ,最終的な試験完遂人数は16名となった.結果は主要アウトカムである疼痛および握力,手の機能については有意差を認めなかった.また,指腹つまみ力について,N-KTSはCMC装具と比較して有意な改善を示した.結論として,本装具は有効性が示されている軟性のCMC装具と比較しても劣らず,さらにつまみ力の改善には本装具の有効性が示された結果となり,母指CM関節症患者の装具療法には有効であると報告した. この報告と同時にプロトタイプを作成した某医販企業と特許実施許諾契約書(ライセンス契約)を締結し,発売計画を算定した.2023年の8月に当院での先行販売を行い,それらの実績を元に2024年から全国発売を予定している.発売予定個数は2023年度は30個,2024年度は200個,2025年度は300個を予定している. 今後は,海外雑誌への投稿,本装具の修正点があれば修正を行い継続して発売し,実用化・社会実装としては最終局面となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本装具であるN-KTSの有用性に関する2つの研究:本装具の主要メカニズムであるバイオメカ研究と臨床研究はすでに終了している.これらの学会報告は終了しているが,論文投稿を今後予定している. また,実用化である本装具の発売は,一部開始されており,今後は実績を元に全国発売を予定しており,実用化・社会実装に関しても順調に推移している.
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究に関する報告を2編,アメリカ系の医療医学誌への論文投稿を予定して,準備している.また,全国発売に関して,最終的な装具の修正点や発売に向けた戦略など検討していく.
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響により,臨床データの取得が遅延し,国際誌への論文投稿が遅れている.国際誌への論文投稿費を2編計画している.また,国際学会発表のための旅費も計画している
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