2021 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者の余暇活動の実態と、目標指向型プログラムが認知症予防に及ぼす影響
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20K19467
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
谷利 美希 中部大学, 作業療法実習センター, 講師 (40612669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 余暇活動 / 社会参加 / 地域在住高齢者 / 社会的孤立 / 抑うつ / フレイル / 認知症危険因子 / 健康関連QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
地域在住高齢者の余暇活動や社会参加の実態を,Activity Card Sort-Japan version(ACS-JPN)を用いて定量的に調査し,認知症危険因子との関係を検証した. 具体的に,2020年度の追跡調査及び対象者拡充による新規調査を行った.対象者を拡充した理由は,研究結果の一般化可能性を高めるためである.調査内容は,①質問紙:属性,ACS-JPN,社会的孤立度(LSNS-6),健康関連QOL(SF-8),フレイル度(CHS基準),②面接:iPadによる認知機能検査(NCGG-FAT),握力,とした.ACS-JPNは,手段的日常生活活動(以下,IADL),レジャー身体低負荷,レジャー身体高負荷,社会文化的活動の4領域別に活動実施数および活動保持率を算出できる. 質問紙は,町内会自治会協議会の協力を得て,全戸1606戸に2部ずつ配付し,769通回収した(期間:2021年10~11月).対象地区の高齢化率(45.0%)により,回収率概算は53.2%である.面接の同意は139名であったが,予定していた面接調査は感染拡大のため実施できなかった.2022年3月末より順次,面接を開始している. 質問紙による追跡が可能であった43名(平均77.9(SD= .80)歳,男性22名,女性21名,同居形態:独居7名,同居者有35名,不明1名)の解析結果によると,2020年と2021年の比較では,ACS-JPN 4領域の活動実施数はIADLを除いた3領域が有意に上昇し,フレイル度は悪化し,健康関連QOLには差がなかった.また,一般化推定方程式により,各活動の実施には,同居者の有無や健康関連QOLの影響度が高いことが示された.2021年の調査時は感染者数が減少傾向であったため,活動実施数が上昇したと考えられたが,フレイル度は悪化しており,2020年の行動自粛の長期的影響が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大の影響により,対面による調査の開始が遅れた.また,感染による重症化リスクの高い対象者群であるため,余暇活動の種類や方法,参加人数に制限がある状態が続いている.本研究目的を達成するためには,社会的背景を踏まえた研究計画(介入方法)の修正が必要と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,感染症予防対策の上,面接調査を完了し,新たな解析および論文化を進める.また,感染症予防のための行動制限は未だ継続しており,本研究実施にあたっては,高齢者の余暇活動の変化を捉え,それによる心身への影響を考慮することが不可欠である.したがって,今年度の解析結果を踏まえて,研究計画を修正する.具体的には,継続的な観察のため,同様の対象者の追跡調査を行う.また,社会的背景を踏まえた支援の必要性の明確化,支援内容の具体化を目指し,感染症流行中および流行後の,地域在住高齢者の主体的な活動・参加の変化を領域別に把握する.その上で,認知機能および認知症危険因子の変化との関連を明らかにする.さらに,目標指向の活動・参加の場を設けるには,当事者団体や自治体との連携,既存の場の活用,使い慣れたツールの活用,ICT利用の検討等が必要である.
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Causes of Carryover |
感染症流行の影響により,2021年度は面接調査が実施できず,2022年度に延期された.面接調査に必要な経費は2022年度に使用する.
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