2022 Fiscal Year Annual Research Report
足圧中心位置に着目した膝前十字靱帯再建術後の代償的運動制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K19477
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石田 知也 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (30759642)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膝前十字靱帯 / リハビリテーション / スクワット / 足圧中心 / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,研究課題3)膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament; ACL)再建術後症例を対象として,スクワット動作中の足圧中心(center of pressure; COP)位置についての視覚的フィードバックを用いた動作練習が,膝関節伸展モーメントの対称性に与える効果を明らかにするための研究を進めた。ACL再建術後症例27例を対象として,COP位置の視覚的フィードバックを与えながら両脚スクワットの動作練習を行わせ,動作練習前後の三次元動作解析を行った。フィードバックトレーニング前にCOP位置の非対称性を示していた症例において,トレーニング後にCOP位置の対称性は有意に改善した(P < 0.05)。同様に,膝関節伸展モーメントの対称性もフィードバックトレーニングにより有意に改善していた(P < 0.05)。これらの結果より,COP前後位置の左右対称性についての視覚的フィードバックトレーニングは,ACL再建術後のスクワット動作における膝関節伸展モーメントの対称性改善に効果的なトレーニングであることが明らかとなった。 一連の研究課題により,COP前後位置の左右非対称性はACL再建術後のスクワット動作における代償的な運動制御に関連していることが明らかとなった。また,視覚的フィードバックを用いてCOP位置を左右対称的に保持するようなスクワットトレーニングが,ACL再建術後の左右対称的な運動制御の獲得に繋がる可能性を示すことができた。 ACL再建術後の非対称的な運動制御は,競技パフォーマンス低下や高い再受傷率との関連が報告されていることから,本研究の知見はACL再建術後の競技パフォーマンス向上や再受傷予防に繋がることが期待される。
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