2021 Fiscal Year Research-status Report
伸張性収縮による繰り返し効果は神経機能も保護するか
Project/Area Number |
20K19485
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
植田 央 帝京平成大学, 健康医療スポーツ学部, 講師 (10791775)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 繰り返し効果 / 神経損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
伸張性収縮は一時的な筋損傷を引き起こすが、繰り返し実施することで筋損傷が抑制される現象が明らかとなっている。骨格筋が張力を発揮しながら引き伸ばされる伸張性収縮は、筋・関節機能の低下、遅発性筋痛の出現、筋の腫脹などの筋損傷を引き起こす。そして、伸張性収縮による筋損傷は、同じ部位に繰り返し負荷した場合、初回よりも2回目の方が軽減することが広く知られている(繰り返し効果)。一方で、メカニズムについては不明な点が多く、特に神経機能に及ぼす影響は明らかでない。その理由としてヒトの神経機能を評価する方法が困難であることが挙げられる。そこで本研究では、臨床で用いられている短母指屈筋を運動実施筋群に設定し、短母指屈筋に伸張性収縮を負荷する機器を用いて、これまでに確立した神経損傷モデルを用いて繰り返し効果のメカニズムを解明することを目的に実験を実施した。若年男性を対象とし、全員が片方の短母指屈筋に伸張性収縮運動(10回、10セット)を実施した後、2週間の間隔および、4週間、8週間の間隔をあけて両手の短母指屈筋に1回目の運動と同様の運動を実施させた。3群間によるインターバルの違いが繰り返し効果に及ぼす影響について比較・検討した結果、運動神経伝導速度に加え、感覚神経伝導速度の遅延を確認したものの、神経伝導速度において繰り返し効果はみられなかった。また、インターバルの違いや、同側および反対側においても繰り返し効果は観察されなかった。 引き続き、繰り返し効果を神経適応のメカニズムの観点から検討することは、リハビリや筋損傷予防の観点から極めて重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した実験1の研究については、実験結果をまとめ、国際雑誌に論文を投稿し掲載されております。 タイトル:Eccentric exercise causes delayed sensory nerve conduction velocity but no repeated bout effect in the flexor pollicis brevis muscles 雑誌名:European Journal of Applied Physiology 年:2021 DOI:https://doi.org/10.1007/s00421-021-04773-7
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、研究計画に記載した実験2の実施を予定している。 実験Ⅱでは、ペダル駆動型筋力測定器(ストレングスエルゴ240)を用いて、膝伸展筋群に伸張性収縮運動を実施させ、繰り返し効果および対側繰り返し効果は神経にもおこるのか検証する。
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Causes of Carryover |
使用計画としては、測定協力者への謝礼金(人件費)に加え、測定の際に必要となる設備品および消耗品、および国際雑誌に投稿した際の論文校正費と掲載費に使用する予定です。 なお、2年間コロナ渦において参加できていなかった対面の学会にも参加するため旅費としても使用いたします。
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Research Products
(1 results)