2021 Fiscal Year Research-status Report
Does exercise prevent cognitive decline to do physical inactivity by brain NAD+?
Project/Area Number |
20K19489
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
金 芝美 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (00868177)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 身体不活動 / NAD+ / 定期的運動 / 認知機能 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、定期的な運動が脂肪組織からのeNAMPT放出を高めて脳内NAD+量を増加させ、このことが身体不活動による認知機能の低下やうつ様症状の発症の予防に貢献するか否かについて解明することを目指す。2020年度は脂肪組織から循環血中へのeNAMPT放出を高める最適な運動条件を探るために、一過性のトレッドミル走運動強度による血漿eNAMPT 量の変化をタイムコースで観察し、かつ運動強度と関係させて検討した。雄のC57BL/6Jマウスに一過性の低強度(10m/min、1時間)、中強度(20m/min、1時間)、高強度(20m/min~疲労困憊、約30分)トレッドミル走運動を課し、運動前、運動1、2、4時間後に採血し、血漿eNAMPT量をWestern blot法により定量した。その結果、運動前と比較して低・中・高運動強度の1時間後でeNAMPT量の有意な増加が認められた。これらの結果は運動強度に依存ではなく、運動自体がeNAMPTの量を増加させる可能性が示唆された。次は、定期的な運動が身体不活動由来の認知機能低下及びうつ様症状の発症の予防に貢献するか否かについて検討した。8週齢のマウスを無作為に(1)通常飼育群、(2)身体不活動群、(3)身体不活動+運動群の3群に分けた。(1)群は通常のマウス用飼育ケージで飼育し、(2)、(3)群は我々が考案した6分割ケージに飼育し、更に(3)群は低強度運動(10m-15m/min)で週3回、1時間のトレッドミル走を行わせた。しかし、身体不活動の影響によってマウスの運動能力が低下して1時間までは走れなかったため、マウスの運動能力に応じてトレッドミル速度を10-15m/min、30分に変更した。この条件で20週間飼育後に行動試験を行った。その結果、定期的な低強度運動は長期間の身体不活動による認知機能の低下やうつ様症状を回復させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、2021年度もCOVID-19感染症の蔓延により感染予防のため当該年度の実験は進まなかった。総じて(3)やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、前年度に20週間飼育後に行動試験の終了後、麻酔下で採血後に左心房より生食を灌流して脱血し、その後に脳を採取した。採取した右脳は認知機能やうつ様症状の発症・改善に関係が深い海馬の神経新生を調べるため、細胞増殖マーカーであるKi67による免疫組織科学分析に用い、左脳はNAD+量を測定する。定期的な低強度運動は長期間の身体不活動による認知機能の低下やうつ様症状の改善において脳のNAD+量との関係を検討する。得られた成果は国内発表と英文学雑誌への公表を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内外の学会が中止や延期、開催方法変更となったため、交通費、旅行等の支出がなかった。また、本年度に予定していた研究計画もまだ未遂行の実験がある。次年度は、消耗品購入・学会報告・英文校正・論文投稿費などに使用していく予定である。
|
Research Products
(2 results)