2020 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋の運動適応に関与する長鎖ノンコーディングRNAの同定とその生理機能
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20K19491
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
及川 哲志 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (20844997)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 持久性運動 / 骨格筋 / ノンコーディングRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
定期的に持久性運動を行うことで,筋線維の遅筋化やミトコンドリア新生,毛細血管新生など骨格筋の代謝適応が誘導されるが,その分子メカニズムは十分に明らかにされていない.運動による筋の代謝適応機構を明らかにすることで,肥満や糖尿病などの代謝疾患の新たな治療標的の開発に貢献することが期待される.長鎖ノンコーディングRNA(long non-coding RNA: lncRNA)はタンパク質へ翻訳されない200塩基以上のRNAであり、様々な生体機能に関与することが報告されている.近年の研究から,lncRNAが骨格筋にも発現し,いくつかのlncRNAが筋細胞の増殖や分化、代謝機能などを調節することが明らかにされているが,運動による筋の代謝適応におけるlncRNAの役割は不明である.そこで本研究ではRNAシークエンス解析を用いて運動により骨格筋で発現が変化するlncRNAを同定し,in vivoにおけるそれらの機能を明らかにすることを目的としている.2020年度は,12週間の自発走運動を行ったマウスの骨格筋サンプルを用いてRNAシークエンスを行った.これにより運動後に発現が変動したlncRNAを複数抽出することができた.さらにこれらlncRNAのマウス組織における発現プロファイルや骨格筋細胞(筋管細胞)における細胞内局在を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動後の骨格筋サンプルにおけるRNAシークエンスを予定通り行い,複数の機能未知なlncRNAを抽出することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
抽出したlncRNAの機能を明らかにするため,shRNAを用いたスクリーニングをin vivoで行う予定である.持久性運動により獲得される筋の表現型を模倣するPGC-1αトランスジェニックマウスの骨格筋においてlncRNAの発現量を操作し,代謝機能を評価する.現在,lncRNAの発現を調節するためのベクターの作製を進めている.
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