2023 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の運動適応に関与する長鎖ノンコーディングRNAの同定とその生理機能
Project/Area Number |
20K19491
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
及川 哲志 早稲田大学, スポーツ科学学術院, その他(招聘研究員) (20844997)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 運動 / 骨格筋 / ミトコンドリア / ノンコーディングRNA / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
定期的な持久性運動は全身のエネルギー代謝を改善することが知られており,これは骨格筋の筋線維タイプの遅筋化やミトコンドリア量・活性の増大といったエネルギー代謝に関する骨格筋の適応が寄与している.しかしながらこれら適応の機序は十分に明らかでない.運動による骨格筋のエネルギー代謝適応の機序を明らかにすることで,肥満や糖尿病といった代謝性疾患の治療標的の開発に貢献することが期待される.長鎖ノンコーディングRNA(long non-coding RNA: lncRNA)はタンパク質へ翻訳されない機能性RNAであり,個体の発生や疾患の発症など多彩な生体機能において重要な役割を担うことが報告されている.近年の研究から,lncRNAが筋前駆細胞の増殖や成熟骨格筋への分化,糖や脂質の代謝などを調節することが報告されているが,運動による骨格筋のエネルギー代謝適応におけるlncRNAの役割は不明である.そこで本研究では,運動誘導性のlncRNAを同定し,それらの生理機能を明らかにすることを目的とした. はじめに12週間の自発走運動を行なったマウスの骨格筋を用いて網羅的な遺伝子発現解析を実施し,運動誘導性lncRNAを同定した.これらの機能を明らかにするため,骨格筋の運動適応の表現型を模倣する遺伝子改変マウス(PGC-1a過剰発現マウス) の前脛骨筋においてlncRNAの発現を調節し,ミトコンドリア量・活性の変化を指標としてlncRNAの機能を検討した.エレクトロポレーション法によってshRNA発現プラスミドをマウスの前脛骨筋へ導入し,2週間後に骨格筋を採取した.ミトコンドリア量のマーカーとしてクエン酸合成酵素(CS)活性を評価した結果,あるlncRNAのKDによってCS活性の顕著な低下が認められたため,このlncRNAはミトコンドリア量を調節する因子である可能性が示唆された.
|