2020 Fiscal Year Research-status Report
月経困難症を有する女性アスリートへのコンディショニング提言 ~睡眠習慣から~
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20K19501
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
澤井 朱美 日本女子体育大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00831984)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女性アスリート / 月経随伴症状 / 月経困難症 / 睡眠の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
女子大学生295名を対象に,女子学生競技者における月経随伴症状と睡眠の質の関連性を明らかにすることを目的とした.対象者には身体特性に加えて,初経年齢や直近3ヶ月以内の月経状態,月経に伴う腹部・腰部痛の強さ(Visual Analog Scale: VAS), 平日ならびに休日の平均就寝時刻・平均起床時刻,月経随伴症状とその程度(日本語版Menstrual Distress Questionnaire),睡眠の質(Pittsuburgh Sleep Quality Index),について質問紙調査を行なった.また,平日と休日の平均就寝・起床時刻より,社会的ジェットラグ時間(SJL)を算出した.回答した者のうち,大学の体育会運動部に競技者として所属している者(競技群)と,運動習慣がない者(一般群)の2群に分類し,運動習慣の影響を比較・検討した.また,ピッツバーグ睡眠質問票では,先行研究により報告されているグローバルスコア6を基準とし,≧6を「睡眠の質が低い」者と定義した.「PSQI≧6とPSQI<6」,「競技群と一般群」においての関係性を検討するために,2元配置分散分析を使用し,交互作用ならびに主効果を検討した. その結果,全ての項目で有意な交互作用は認められなかった. 一方で,月経前・月経中の痛みの強さ(VAS),月経前MDQの複数下位領域ならびに月経中のMDQ合計得点において,運動習慣別(競技・一般)ならびにPSQI別(PSQI≧6,PSQI<6)で有意な主効果を示された. このことから,女子大学生においても,低い睡眠の質は月経前・月経中の諸症状の出現と程度に関連することが明らかになった.また,運動習慣別での関連性は同傾向であったものの,低い睡眠の質を呈した学生競技者は,運動習慣のない一般学生よりも月経随伴症状の程度が大きくなる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生295名を対象とした調査は完了しており, これら結果をまとめたものを日本女子体育大学附属基礎体力研究所紀要(Journal of Exercise Science, Vol.30, pp20-29)に査読の上,掲載されている. また,本結果の一部を日本心理学会第84回大会,ならびに第31回日本女子体育大学附属基礎体力研究所公開研究フォーラムへ発表済みである.上記の内容について,さらに別視点から解析したものを,現在国際誌に投稿,査読中である.現在さらに3大学からの結果も回収しており,より詳細な関係性についても解析中である. また,令和2年度は課題1を遂行するとともに,課題2および課題3で測定するPGF2αの測定方法を確認するために,筑波大学へ伺った(9月11日).ELISAを使用する方法では,1つの測定手技のミスで全ての検体結果に影響するため,それら手順,機器,結果の出方についての確認作業に立ち会わせてもらった.これにより,課題2,課題3,および課題4の遂行が確かなものになることが確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,課題2および課題3で使用するアクチグラフィの検討中である. コロナウイルス流行の条件下ではあるものの,測定環境に配慮した方法が確立しつつあるため,アクチグラフィの決定後,倫理申請書を提出する予定である.
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Causes of Carryover |
今年度はコロナウイルス流行に伴い,調査に協力いただく大学や協力者との打ち合わせをオンライン会議で実施した.また,調査用紙への回答方法は,近隣大学へは紙媒体を直接配布・回収し,遠方へはGoogleFormを使用した形式で回答を受け付けた.このことから,移動費や郵送費として計上した多くを使用せずに至った. 一方で,現在査読を受けている論文(国際誌)は2020年度中には採択されなかったことから,次年度の予算計上として含めることをお許しいただきたいです.
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