2022 Fiscal Year Annual Research Report
野球打撃におけるスイング速度と正確性の調整スキルの解明
Project/Area Number |
20K19504
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
森下 義隆 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (50549483)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 野球打撃 / スイングスピード / ボールインパクト / 正確性 / speed-accuracy trade-ff |
Outline of Annual Research Achievements |
野球の打撃動作は高速で飛翔するボールの速度や軌道を瞬時に判断し、バットの芯で捉える技能が求められる。一般的に、ある運動課題において動作のスピードと達成すべき課題の正確性との間には反比例の関係(Speed-Accuracy trade-ff)がある。野球の打撃動作において正確なボールインパクトを実現するためには、バットスイングの速度調整が重要なポイントになる。そこで本研究では、打撃技能向上のための科学的知見を得るために、スイング速度とインパクトの正確性との関係について調査した。 昨年度はデータ収集として、男性の野球経験者11名と未経験者8名を対象に高速度カメラ、光学式モーションキャプチャシステム、フォースプレートを用いて打撃動作を計測を行った。実験試技は、できるだけスイング速度を高めることを重視した条件(スピード条件)とバットの芯でボールを捉えることを重視した条件(正確性条件)の2条件で、それぞれティースタンドを用いた静止球打撃(ティー打撃)とした。 当該年度は、昨年度収集したデータからバットの芯とボールの衝突位置との差(インパクト誤差)およびバットの運動について分析した。その結果、経験者と未経験者ともに正確性条件の方がインパクト誤差が小さく、特に未経験者は条件間の差が大きかった。スイング速度は経験者と未経験者ともにスピード条件の方が大きく、未経験者の方が条件間の差が大きいことが分かった。以上のことから、野球打撃ではスイング速度を増加させるとボールインパクトの正確性が低下するが、打撃動作の経験を積むことにより、スイング速度を著しく低下させずとも正確性を維持できる可能性が示された。今後は、スイング速度やボールインパクトの正確性に寄与する動作や力発揮の特徴について明らかにする必要がある。
|