2021 Fiscal Year Research-status Report
運動依存的なマイオカインの分泌に骨格筋Ca2+シグナルが与える影響
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20K19505
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
伊藤 尚基 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (50746534)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 運動 / マイオカイン / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、運動といった骨格筋への負荷によって筋細胞内Ca2+シグナルが急速に活性化することを発見し、この負荷依存的なCa2+シグナルの活性化が、筋肥大を始めとした負荷依存的なシグナルの活性化の起点となることを明らかにしてきた(Ito N et al., Nat Med. 2013. Ito N et al., Channels. 2013. Ito N et al., Int J Mol Sci. 2018.)。 本研究では、申請者が開拓してきた”骨格筋Ca2+シグナルの活性化”が運動依存的なマイオカインの分泌に与える影響を明らかにする。そしてこの分子機構の破綻が、加齢依存的なマイオカインの分泌不全を招き、サルコペニアおよび加齢に伴う代謝・多臓器相関不全を誘引するという仮説を検証し、サルコペニアに対する創薬技術基盤を構築する。
当該年度では、IL-6をはじめとしたマイオカインが、どのような生体内代謝物の変化に応じて発現誘導、あるいは抑制されるか検討した。その結果、ある特定の生体内代謝物の変化に応じて、細胞内Ca2+濃度が上昇し、IL-6をはじめとしたマイオカインの発現が誘導されることを示す端緒を得た。引き続き、生体内代謝物の変化に応じて活性化されるCa2+チャネル・陽イオンチャネル・トランスポーターを同定し、Ca2+シグナルとマイオカインの分泌との関係を明らかにする。さらに、これら分子・生体内代謝物の変化と加齢・サルコペニアとの関係性を明らかにする。これらの結果を元に、加齢依存的なマイオカインの分泌不全の原因を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標では、運動依存的なマイオカインの分泌に影響を与えているCa2+チャネルを二年度目に同定する予定あり、引き続き検討を行っている。これらの目標に加えて、細胞内Ca2+シグナルの制御を介して、IL-6をはじめとしたマイオカインの分泌を誘導する生体内代謝物の発見に繋がる結果を得ることができた。これらの結果から、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を元に、マイオカインの分泌に関わる生体内代謝物と運動の関係、また生体内代謝物のターゲットとなるCa2+チャネル・陽イオンチャネル・トランスポーターの同定を目指す。さらに、これらの分子と加齢・サルコペニアとの関係を解析する。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究計画および研究実施状況などに遅延はないが、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度は、マイオカイン分泌に関わる生体内代謝物とCa2+シグナルの関係、生体内代謝物のターゲットとなるCa2+チャネルの同定、およびこれら分子と加齢・サルコペニアとの関係を解析する予定であり、引き続き、本研究費用に充当する。
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