2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K19513
|
Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
縣 右門 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (30809132)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 自発走運動 / 骨代謝 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
運動による生体への物理刺激は骨芽細胞分化促進や破骨細胞の分化抑制に寄与することが分かっており、骨量を維持および増進させるためには適度な運動が必要であることは良く知られている。一方で、これまで骨においてmicroRNA(miRNA)の作用や影響を報告した論文は非常に少ない。 現在、骨におけるmiRNAの作用メカニズムと、運動および物理刺激の関わりはいまだ明らかでない部分が多いため、本研究では、骨量の変化をもたらすような運動が、miRNAの発現に影響するのかどうかについて検討を行う。 これまでの先行研究では、軟骨部位あるいは軟骨基質中の軟骨細胞における恒常性にいくつかの種類のmiRNAが重要な役割を果たすことは報告されているが、骨において運動特異的に産生されたmiRNAの機能を報告した研究は見当たらない。さらに、本研究から得られると予想される結果は、アンチエイジングにおける骨量維持および骨関連疾患予防あるいは治療法の開発可能性を示す極めて重要な知見である。 当該年度では、成長期雄ラットを運動群および非運動群に分け、運動群は回転車ケージに入れ、両群とも固形飼料および蒸留水を自由摂取させ4週間飼育した。飼育期間終了後、運動(物理刺激)の影響を受けやすい荷重骨の脛骨および大腿骨を摘出した。その後大腿骨サンプルからはRNAを抽出した。 脛骨骨密度では運動群が非運動群に対し有意に高い値を示したことから、自発走運動は骨量増進に有効であることが示された。また、大腿骨サンプルからは十分な量のsmallRNAを含むtotalRNAが抽出できなかったため、抽出方法の改善が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナ感染症の影響を受け、緊急事態宣言によるテレワーク推奨や学生のオンライン講義への対応など研究活動に大きな支障が発生したため。 また、骨試料からのsmallRNAを含むtotalRNAの抽出が十分ではなかったため、抽出方法の改善が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
成長期雄ラットを運動群および非運動群に分け、運動群は回転車ケージに入れ、両群とも固形飼料および蒸留水を自由摂取させ飼育する。運動群と非運動群のラット骨サンプルについて骨密度を含む形態計測を行い、さらに血液サンプルについては生化学分析を行う。また、骨サンプルからはsmallRNAを含むTotalRNAを抽出後、マイクロアレイ法を用いて比較解析する。その後運動負荷特異的なmiRNAを特定し、その標的遺伝子をバイオインフォマティクスによって抽出する。具体的には、採取した骨サンプルで有意に発現が高まった遺伝子について、TargetScan(http://targetscan.org)を用いてmiRNAの結合サイトを特定する。 現状では十分量のTotalRNAの抽出ができていないため、骨サンプルの破砕方法などを改善し質の良いToalRNAの抽出を行っていく。
|
Causes of Carryover |
まず、当該年度では新型コロナ感染症拡大の影響を受け、研究活動が制限されていたことが挙げられる。また、サンプルからの試料抽出について当初予定していた品質を担保できなかったため、分析費用が低くなったことから当該助成金が発生している。 翌年度分を使用して、新たに得られた試料についてはマイクロアレイ法を用いて比較解析し、また、差が大きい分子についてはその標的遺伝子をバイオインフォマティクスによって抽出する。
|