2020 Fiscal Year Research-status Report
青年期の高い体力と運動スポーツ実践は高齢期のフレイルを防ぐか?
Project/Area Number |
20K19516
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
慎 少帥 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 博士研究員 (80843010)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フレイル予防 / ロコモ予防 / 青年期の体力・運動能力 / 青年期の運動スポーツ実施 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度における研究計画は、青年期の体力・運動スポーツ実践と中高齢者の身体的フレイルの主たる要因を形成するロコモティブシンドロームとの関連についての検討であった。 研究課題1では、青年期の体力と中高齢期のロコモリスクとの関連性を検討した。対象者はスポーツ系学部の男性卒業生231名であった。ロコモリスクの有無を目的変数、大学在学中(4年次)に測定した体力の記録を説明変数とするコックス回帰分析を行った。その結果、反復横とびの記録が下位群に比して、上位群はハザード比が0.32(CI: 0.10 - 0.98、P = 0.047)であった。青年期に敏捷性を高めることが中高齢期のロコモ予防に効果的である可能性があることが明らかにされた。これを用いて、現在、青年期に敏捷性を高めること、中高齢期に運動習慣を保つことで、ロコモ予防に相乗効果が生まれるかについて解析を行っているところである。 研究課題2では、青年期にどのような運動スポーツを実施することが中高齢期のロコモ予防に効果があるのかを明らかにするため、体育系学部の男性同窓生568名を対象として、青年期のスポーツ実施経験と中高齢期のロコモリスクとの関連性を検討した。ロコモリスクの有無を目的変数、青年期に経験したスポーツの種類を説明変数とするコックス回帰分析を行った。その結果、65歳以上の男性では、低強度スポーツを経験した群に比して、高強度スポーツを経験した群はハザード比が0.44(CI: 0.20 - 0.97、P = 0.042)であった。若い頃に強度が高いスポーツを経験したことが高齢期のロコモ予防に効果的である新たな可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、青年期の体力・運動スポーツ実践と中高齢者の身体的フレイルの主たる要因を形成するロコモティブシンドロームとの関連についての検討した。青年期に敏捷性を高めることが中高齢期のロコモ予防に効果的である新たな可能性を確認した。また、青年期に運動強度が高いスポーツを行うことが中高齢期のロコモ予防に効果的である新たな可能性を示しており、研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究では、本年度の研究で着目したロコモティブシンドロームに関する身体的フレイルだけでなく、青年期の体力・運動能力と高齢者の包括的フレイルとの関連を検討する予定である。既存データの分析準備が整っており、一部データの解析に着手している。同時に青年期に敏捷性を高めること、中高齢期に運動習慣を保つことで、ロコモ予防に相乗効果が生まれることを示したため、現在原稿作成に着手する。また、次年度は同窓生を対象とした体力測定会を実施して行く予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、初年度に国内学会および国際学会1回ずつ参加する予定であったが、COVID-19の影響で国際学会参加不可能となったため、一部の直接経費を次年度に繰り越した。翌年度、繰り越した直接経費を用いて学会発表を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)