2021 Fiscal Year Research-status Report
Effect of long-term exercise training on epigenetic clock
Project/Area Number |
20K19520
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河村 拓史 早稲田大学, スポーツ科学学術院, その他(招聘研究員) (80823327)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 運動 / 老化 / 生物学的年齢 / エピジェネティック時計 / DNAメチル化年齢 / 全身持久力 / 運動トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題(2)では, 全身持久力の違いがエピジェネティック時計に及ぼす影響を検証した.対象は, 所属機関が実施するコホート研究に参加する高齢男性144名(68.0±1.9歳)とし, 全血から抽出したDNAサンプルを用いて, DNAメチル化ビーズアレイにてDNAのメチル化レベルを測定した. これを基に, DNAmAgeHorvath, DNAmAgeHannum, DNAmPhenoAge, DNAmGrimAgeおよびDNAmFitAgeの5つのエピジェネティック時計(単位:歳)を算出するとともに, 暦年齢との差で表される年齢加速(単位:歳)をそれぞれ算出し, 全身持久力との関係を検証した. その結果, 全身持久力は, 死亡率の強力な予測因子であるDNAmGrimAge年齢加速との間に有意な負の相関が認められた. また, 対象を全身持久力(VO2peak)の三分位で3群に分けると, 全身持久力が中程度の群(26.4 ml/kg/min)および最も高い群(31.8 ml/kg/min)では, 最も低い群(22.1 ml/kg/min)と比べて, DNAmGrimAge年齢加速が有意に抑制された. 研究課題(3)では, 長期的な運動トレーニングが多臓器におけるエピジェネティック時計に及ぼす影響を動物実験(ラット)にて検証している. 対象は, 持久運動能力を基に繁殖が繰り返されたLow-capacity runner群(LCR群)26匹とHigh-capacity runner群(HCR群)26匹とし, これらを月齢に基づきSedentary群(23ヶ月齢, 各群18匹), Ex-training群(16ヶ月齢, 各群8匹)へとそれぞれ振り分けた. 現在, Sedentary群の解剖を完了し, Ex-training群の運動トレーニング介入を実施しているところである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題3については, 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により, 高齢者を対象とした運動トレーニング介入の実現が倫理面および安全面の観点から難しくなった. しかし, 研究対象をヒトから動物へと代替したことで, 研究計画に大幅な遅れを生じさせることなく, 本研究課題を遂行できていうものと判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題2については, データの詳細な統計解析を行った後に論文の執筆を開始し, 年度内の研究成果の公表を目指す. 研究課題3については, 今後, Ex-training群の月齢が, Sedentary群のそれと同一になるタイミングで解剖を実施し, 運動トレーニングによる全身持久力の向上が多臓器におけるエピジェネティック時計に及ぼす影響を検証する予定である. これにより, 運動による抗老化効果の臓器特異性や, その効果が最も顕著に表れる臓器の特定を目指す.
|
Causes of Carryover |
研究課題3の計画に変更が生じたため, 当初人件費, 謝金として支出する予定であった予算において, 一部次年度使用額が生じた. 当該分については, 研究課題3における実験動物のDNA抽出試薬の購入費に充当させる予定である.
|