2020 Fiscal Year Research-status Report
Does exercise combined with ketone body administration reduce cognitive decline in diabetic rats?
Project/Area Number |
20K19526
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
瀧本 真己 京都先端科学大学, 健康医療学部, 講師 (10818503)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | β-ヒドロキシ酪酸 / 運動 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病による認知機能低下の予防と改善に対して、有酸素運動トレーニングとβ-ヒドロキシ酪酸(β-HB)投与が相乗的な恩恵効果をもたらすか検討し、その分子機序を明らかにすることを目的として行うものである。 本年度は、β-HB投与によってβ-HBが海馬内に取り込まれるかを検討した。ラット腹腔内に一定流量で慢性的にβ-HBを投与することが可能な浸透圧ポンプを埋め込み、投与されたβ-HBが海馬内に取り込まれるかを調べた。2つの異なる濃度のβ-HB溶液を、3つの異なる流量と容量の浸透圧ポンプに充填して、ラットの腹腔内に埋め込んだ。2日間の安静後に血液を採取し、頭部にマイクロ波(5kW, 1.7秒)を照射して脳内のすべての酵素を失活させた後に海馬を採取した。血漿と海馬に含まれるβ-HB濃度を測定した結果、どの群のβ-HB濃度にも有意差が認められなかった。この結果より、浸透圧ポンプによるβ-HB投与は海馬に取り込まれているか確認することができなかったため、別の投与方法を検討することとした。 次にラット腹腔内に注射器で直接投与する方法を検討した。3つの異なる濃度(1mg/g, 0.5mg/g, 0.1mg/g)のβ-HB溶液を投与し、投与前、投与15分後、30分後に血漿と海馬のβ-HB濃度を測定した。その結果、1mg/gと0.5mg/gを投与した15分後に血漿のβ-HB濃度が投与前と比べて増加した。海馬では有意な増加を確認できなかったが、先行研究において血中のβ-HBは脳に取り込まれ利用されることが報告されていることから、投与により増加した血中のβ-HBは海馬にも取り込まれることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスによる影響で移動制限が生じ、安定して実験をすることができていない。当初の予定では、次に糖尿病ラットの長期飼育をする計画であるが、新型コロナウィルスの影響により長期的に動物を飼育することが困難な状況であるため、研究の進捗にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、発症前の糖尿病ラットを用いて、有酸素運動とβ-HB投与が糖尿病による認知症の発症や進行を予防できるか検討することを計画している。当初予定していた浸透圧ポンプによる慢性投与ではなく、運動前に腹腔内への直接投与することで、その効果について検討する予定である。また、糖尿病による認知症予防の分子機序を検討するために、β-HBの膜輸送に関わるタンパク質、代謝関連酵素、認知機能に関連する因子の発現を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により安定的に実験することができなかったため、次年度使用額が生じた。特に使用目的の大部分を占めるのが、糖尿病ラットの購入であったため、新型コロナウィルスの影響によりその実験自体が遂行できていないことが理由である。 今年度は実験を遂行できるように調整しており、糖尿病ラットを購入して計画していた実験を実施する予定である。
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