2022 Fiscal Year Research-status Report
視覚障がい者における水泳スキルおよび水泳周辺スキルの評価
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20K19528
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
谷川 哲朗 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (90615452)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚障がい者 / 水泳 / タッピング / タイミング / 泳速度 / ストローク / スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、視覚障がい者の水泳スキルおよび水泳周辺スキルを評価し、視覚障がい者の競技力向上の方法とそれに応じたタッパーのサポート方法を明らかにすることを最大の目的としている。昨年度の測定では、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、視覚障がい者を対象に測定することができず、晴眼者がブラックゴーグルを着用することで、模擬的に測定を行った。今年度は、視覚障がい者の安全に配慮しながら測定することができた。 そこで、今年度はタッピング経験がないタッパーを対象に、全盲の水泳選手のタッピングさせた際のタッピング技術を主観的および客観的に評価することを目的とした。本研究の結果、ゴール壁面からタッピングした位置までの距離(タッピング距離)は、タッピング前の泳速度との間に有意な正の相関関係が認められた(r = .767、 p=.004)。初心者タッパーは泳者の泳速度が速い場合はゴール壁面からより遠くでタッピングすることが示された。この関係を単回帰式で示すと、y = 1.57x -0.68であった。この単回帰式から得られれたタッピング距離の残差が-0.15mから0.07mまでの範囲内の場合に、泳者は「タッピングする位置がちょうどよい」と回答した。ゴール動作によるタイムロスが負の値(タッピング後に減速しなかった試技)であった試技は4件であった。そのうち、3件が「タッピングする位置が遠い」と泳者が回答した試技であった。以上のことから、泳者の主観的な感覚を頼りにタッピングのタイミングを合わせることは全盲の水泳選手の安全確保において重要であるが、競技力向上にはつながらない可能性が示された。 以上の結果から、視覚障害者のサポートする方法が競技レベル別に明確となった。パフォーマンスを向上させるためには、適切なタッピング距離を計測する必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度から新型コロナウイルスの影響により、対象者のスケジュールおよび使用施設の使用制限等が生じ、測定ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目に実施予定であった内容について、測定を行う。具体的には、視覚障がい者のターン動作に着目し、タンブルターンとオープンターンのそれぞれの有効性について検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、対象者のスケジュールおよび施設の利用制限が生じたため、測定を実施できなかったため。
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