2020 Fiscal Year Research-status Report
感覚運動協調の予測・適応能力に関与する神経基盤の解明
Project/Area Number |
20K19535
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 紘平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30792171)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Sensorimotor / Synchronisation / fMRI / Prediction |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リズム感を環境と運動を協調させる(感覚運動協調)能力として評価し、その優劣を分ける行動と脳のメカニズムの解明を目指す。 時々刻々と変化する環境に運動を協調させるためには、環境の変化を予測する能力(予測能力)と予測との誤差に応じて適応的に運動のタイミングを変化させる能力(適応能力)が必要不可欠である。これらの能力は、脳の感覚関連領域や運動関連領域などの領域間の情報交換によって実現されると考えられる。そこで、本研究は感覚運動協調に関わる予測・適応能力の個人差を脳機能と構造の繋がり(ネットワーク)の観点から明らかにする。今年度は、予測能力を評価する指標を検証し、その指標と機能的磁気共鳴画像装置を用いて予測能力に関わる神経基盤を調べた。実験参加者にはMRI装置の中でメトロノームに合わせたタッピング課題を行ってもらった。予測能力の指標については、Prediction/tracking ratiosという指標を用い、感覚運動協調のパフォーマンス指標については一般的なタップとリズム音の時間ズレの平均値(正確性)と標準偏差(安定性)を用いた。行動解析の結果、先行研究と同様に予測能力が高い人はタッピングの正確性、安定性が高いという結果を得た。脳画像解析の結果では、タッピング課題中に聴覚野、被殻、左側一次運動野、右側小脳の活動が観察された。そして、予測能力の指標と背側運動前野の活動が相関することを明らかにした。背側運動前野は聴覚野と一次運動野と解剖学的結合を持つことが知られており、本研究によって背側運動前野が聴覚運動協調における予測能力に関わることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、機能的磁気共鳴画像装置を用いて、予測能力に関連して活動強度が異なる領域を同定した。現在、この研究成果を国際誌にて発表するために、英語論文としてまとめている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は予測能力に関連して活動強度が異なる領域を明らかにした。今後は、予測能力に関連して機能的結合が異なる領域間を調べる。特に、背側運動前野と聴覚野、一次運動野の機能的結合が関連することが予想される。その機能的結合を明らかにしたのち、背景にある白質線維という構造的結合を評価する。その後、適応能力に関連した脳機能と構造のネットワークの研究へと着手する。これら一連の研究を通して、巧みに環境に運動を協調させる神経基盤の解明を目指す。
|
Causes of Carryover |
予定していた被験者数を集めることができなかったため、予算を繰り越すこととなった。
|