2021 Fiscal Year Research-status Report
感覚運動協調の予測・適応能力に関与する神経基盤の解明
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20K19535
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 紘平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30792171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | sensorimotor / synchronization / temporal prediction / 7T fMRI / dorsal premotor cortex |
Outline of Annual Research Achievements |
時間的予測能力は、外部リズム刺激への運動同期(感覚運動同期)に不可欠であるが、その神経基盤と個人差については未だ不明である。そこで、聴覚運動同期における時間的予測能力の個人差に関わる脳領域を明らかにするために実験を行った。仮説として、運動の計画に関わる運動前野や補足運動野などの非一次運動野が、予測能力の個人差に関連する重要な脳領域であるという仮説を立てた。 健常者18名を対象に、等時性、テンポ変化、ランダムという3種類の聴覚的メトロノームに合わせて右人差し指でタップする課題を行ってもらい、課題中の脳活動を機能的磁気共鳴画像(7T)を用いて記録した。時間的予測能力は、タップの時間間隔と聴覚刺激の時間間隔の相互相関に基づいて計算される予測/追跡比を用いて評価した。予測/追跡比が高い被験者(すなわち、予測能力が高い被験者)ほど、メトロノームに正確かつ安定してタップしていた。脳活動の解析の結果、すべての条件で両側聴覚野、右側一次運動野、左側小脳に活動が見られ、予測/追跡比は両側背側運動前野の活動と相関した。つまり、両側の背側運動前野が予測能力の個人差を説明することが示唆された。これらの結果は、背側運動前野が聴覚リズムパターンの時間予測モデルの生成に関与しており、その活動は正確で安定した感覚運動同期のために重要なモデル精度を反映することを示唆するものである。今年度はこれまでに得られた結果について英語論文としてまとめ国際誌Cerebral Cortex Communicationに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに時間的予測能力に関わる神経基盤を明らかにし、その結果を国際誌Cerebral Cortex Communicationに発表した。しかし、今年度は論文の投稿作業にかなりの時間を費やしたため、重要なネットワークの観点からの解析やデータ集録を思うように進められなかった。そのため、進捗状況としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータについては引き続き機能的・解剖学的ネットワークの解析を進める。機能的ネットワーク解析については、環境が整っているためすぐに始められるが、構造的ネットワーク解析については現在環境構築中である。また、これからはADaptation and Anticipation Modelを用いて、感覚運動協調における予測能力に加え、適応能力についても研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年に続きコロナ禍などの影響により出張や被験者のデータを収録することができなかったため繰越金が発生した。繰越金については出張費や謝金として使用予定である。
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