2022 Fiscal Year Research-status Report
感覚運動協調の予測・適応能力に関与する神経基盤の解明
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20K19535
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 紘平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30792171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | sensorimotor / synchronization / music / arcuate fasciculus / tractography |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚運動協調における予測能力に関連した脳機能ネットワークについて、Connectome-based predictive modeling法を用いて調べた。これまでに収録した18名分のデータからcorrelational psychophysiological interaction (cPPI) 法を用いて、課題に関連した機能的結合行列を生成し、CPMで解析を行った。しかし、行動指標を予測するのに十分な結合は見られなかった。 構造解析については、MARCS InstituteとAarhus大学から80名の音楽家と非音楽家の拡散強調画像の提供を受け、Fractional Anisotropy (FA)値という白質線維の組織特性を表す指標の神経線維束上での分布を調べ、音楽家と非音楽家での比較、また予測能力や適応能力といった行動指標との関係性を調べた。まず行動指標については、これまでに得られた結果のとおり、タッピングのばらつきと予測能力指標の間に有意な相関があった。これはタッピングが安定している人ほど、予測能力が高いことを再現した結果である。また、Arcuate fasciculus(ARC)とVertical occipital fasciculusにおいて音楽家が有意に高いFA値を示した。ARCは音声の知覚と運動を結びつけると考えられている神経線維である。また、左のARCについては予測能力と相関することが明らかとなった。この成果については、今年の国際音楽知覚認知学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能的ネットワークについて、予測能力については当初予定していた研究が完了した。また、構造的ネットワークの解析をするために必要な拡散協調画像や行動データは集まり、行動解析はすべて完了した。そのため、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は構造的ネットワークについて、dense connectivity法を用いて結合行列を作成する。行動指標についてはAdaptation and Anticipation modelによる予測能力や適応能力といったパフォーマンスの評価は完了しているため、これらの指標と構造的結合行列を用いて、予測能力と適応能力に関連した構造的結合を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で実験を行うことが難しかったことと、データの提供を受け、被験者謝金を使うことがなかったため。余った予算についてはデータ提供を受けた研究所との打ち合わせや学会発表などの旅費として使用する予定である。
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