2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the causes of shoulder injuries in competitive swimmers
Project/Area Number |
20K19553
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松浦 由生子 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (70824598)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水泳 / 肩関節 / リハビリテーション / 筋活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水泳選手に多いスイマーズショルダーの発生メカニズムを筋協調性の観点から検討し、障害予防プログラムの立案や治療の一助とすることが目的である。競泳競技では体幹を軸とし四肢を動かすことで推進力を生みだすため、肩関節だけでなく体幹や下肢を含む全身の筋協調性が必要となるが、これまでのスイマーズショルダーの研究は肩関節のみに着目しており、全身の各部位との関係や協調性の影響は明らかでない。この協調性は筋シナジー解析を用いて検討することが可能である。筋シナジー解析は新規性の高い解析手法であり、神経科学やリハビリテーション、ロボティクスの分野を中心に様々な日常活動動作のシナジーが報告されている。この筋シナジー解析を用いて肩関節への負担が少なく効率のよい泳ぎを明らかにする。 本年度では、エリート競泳選手を対象に肩関節障害の既往がある選手8名と既往がない選手12名を対象に近代4泳法中の筋活動を測定し、筋シナジー解析を用いて既往の有無での協調性の変化を検討した。 その結果、肩関節障害の既往がある選手には既往がない選手に存在する肩甲骨周囲筋と体幹筋群の協調性が存在しなかった。本課題より肩関節障害予防やリハビリテーションでは肩関節周囲のみならず肩甲骨周囲筋と体幹筋群との協調性の獲得が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は肩関節障害の既往の有無で泳動作中の筋協調性の違いを検討した。対象者20名に対し、筋活動計測を行うことができた。また得られたデータをもとに筋シナジー解析を行った結果、肩関節障害の既往がある選手には既往がない選手に存在する肩甲骨周囲筋と体幹筋群との協調性が存在しなかった。 以上の結果より、体幹と肩甲骨周囲筋の筋シナジーを有することが肩関節障害の予防に必要であることが示唆された。そのため肩関節障害後のリハビリテーションでは肩関節周囲のみならず、上肢と体幹部や下肢筋群との協調性の獲得が重要と考えられる。本課題よりスイマーズショルダーのリハビリテーションの一助となる知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は肩関節周囲筋のみならず、上肢や体幹筋群との協調性の獲得を目指す予防トレーニングの介入を行い,肩関節障害発生率の縦断的な検討による介入トレーニングの効果検証が求められる.
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