2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of evaluation method of muscle quality by Phase Angle and its clinical application
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20K19561
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
赤松 裕訓 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌代謝高血圧研究部, 研究員 (60633071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Phase Angle / サルコペニア / 生体電気インピーダンス法 / 筋質 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアは高齢化社会の日本にあって、その予防と対策は急務である。サルコペニアの診断には筋肉の量だけでなく、筋肉の質(以下、筋質)を簡便にかつ正確に測ることは重要であるが、現在はまだ筋質を評価する体系は確立されていない。他方、Phase Angle(以下、PhA)は生体電気インピーダンス法によって得られる生体の電気抵抗値から算出される値であり、導電組織である筋肉中の細胞機能の健康状態を反映すると考えられている。本研究は、高齢者と若年者を対象にPhAを比較調査し、年齢や運動習慣の違いによってPhAに差があることを明らかにする。さらに、PhAと筋肉内の超音波画像測定によって筋肉の評価を行うことで、筋肉内の状態の違いによるPhAの差を筋肉の質的な差として電気的に説明できることを立証する。また、筋肉内に存在する脂肪や線維組織によって影響を受ける糖代謝との関連も探る。本研究は、PhAをこれまでの測定方法では決定できなかった筋質を評価する体系として確立させ、サルコペニアの診断やさらなる研究の発展につなげるものである。 本研究は、「研究① PhAが年齢などによって異なることの検証」、および「研究② PhAを用いて筋質を評価するための調査と検証」を行うことを軸としている。研究開始年である2020年は研究①を行った。 近隣在住の一般高齢者および大学生を対象とし、京都医療センター倫理委員会の承認(高齢者:承認番号18-107、大学生:同18-106)を受けて測定を行い、大学生1,252名(18.4±0.6歳)および高齢者167名(73.7±6.1歳)の合計1,419名から得られたインピーダンスデータからPhAを算出した。さらに、BMIや骨格筋量指数、握力などの体組成や身体機能に関わるデータを得た。また、質問紙を用いて食事調査や運動習慣などを評価した。得られたデータとPhAとの関連を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「研究① PhAが年齢などによって異なることの検証」、および「研究② PhAを用いて筋質を評価するための調査と検証」を行うことを軸としている。研究開始年である2020年は研究①を行った。 大学生1,252名(18.4±0.6歳)および高齢者167名(73.7±6.1歳)の合計1,419名から得られたインピーダンスデータからPhAを算出した。さらに、BMIや骨格筋量指数といった体組成データや握力、さらには筋質(単位筋肉量辺りの筋力)などのデータを得た。また、質問紙を用いて食事調査や運動習慣などを評価した。得られたデータとPhAとの関連を検討した。 その結果、男女ともに高齢者は若年者に比べてPhAが低かった。また、PhAは年齢、BMI、骨格筋量指数、筋質、握力などと相関関係を持つという結果を得た。これらの新たに得られた知見について、学会発表を行い、また、現在論文投稿の準備中である。 以上の通り、研究①について、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究① PhAが年齢などによって異なることの検証」について、得られた知見についての論文の投稿および学会発表を行い、広く世の中にアウトプットしていく予定にしている。 さらに、「研究② PhAを用いて筋質を評価するための調査と検証」について、検討を進めていく。本年までに得られたデータから、筋肉や身体機能、体組成に関連するパラメータとPhAとの関連について、多変量解析や身体の部位ごとの検討などを行い、検証を深めていく予定にしている。また、これから筋内脂肪の蓄積などによる筋内の組成の違いとPhAとの関連を評価していくために、京都医療センターの糖尿病外来患者を対象にして、PhAの測定、超音波測定および筋力測定を行ってデータを採取することを予定している。
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Causes of Carryover |
今年度はデータの解析を中心に行い、主に学会発表や論文作成のために使用したため、物品の購入頻度が少なかった。次年度はデータ採取を行うので物品の購入費に充てて研究を進めていく予定である。
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