2020 Fiscal Year Research-status Report
視知覚・認知の成立過程に対する運動効果の解明:並列視覚情報経路の視点からの検証
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20K19569
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小見山 高明 大阪大学, 全学教育推進機構, 招へい研究員 (20827688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動 / 脳機能修飾効果 / 視覚並列情報処理 / 視知覚 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
一過性の運動中には脳機能は影響を受けることが明らかとなっているが,そのメカニズムについては明らかでない.一方で,脳は視覚属性の異なる情報を別々の経路で並列的かつ段階的に処理する(並列階層処理)ことが知られており,申請者のこれまでの研究から,運動は脳の情報処理過程さらには処理経路を特異的に修飾することで視知覚を高めている可能性が示唆されている.知覚はより高次の脳機能を働かせる基盤となることからも,このような運動による情報処理過程あるいは経路特異的修飾効果は視知覚のみならず,脳全体としても現れる可能性が考えられる.本研究は,脳の並列階層処理を踏まえて,知覚-認知の過程を情報処理経路別に定量評価することにより,「認知機能に対しても運動による情報処理経路・過程特異的効果が現れるかどうか」について検討する. 上記の検証のため,本研究では大きく2つの研究課題を設ける.まず,知覚-認知過程を情報処理経路ごとに定量評価できる課題を用いて,知覚-認知の過程に対する運動の影響を情報処理経路別に検証し,知覚-認知機能に対する情報処理“経路”への運動の特異的影響があるのかを明らかにする(研究課題1).次に,運動による認知機能への影響が,知覚を介して起きているかを調べることにより,知覚-認知機能に対する情報処理“過程”への運動の特異的影響があるのかを明らかにする(研究課題2). 本研究計画の遂行にあたり,①知覚-認知過程を評価する課題の構築,②脳波を用いた事象関連電位の計測の確立,③経頭蓋直流電流刺激(tDCS)のプロトコル確立の大きく3つの準備を行う必要がある.そのため,初年度は次年度より行う研究課題遂行のため上記3つの準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた①知覚-認知過程を評価する課題の構築,②脳波を用いた事象関連電位の計測の確立,③経頭蓋直流電流刺激(tDCS)のプロトコル確立はおおよそ順調に進んでいる.そのため,次年度に計画していた,知覚-認知の過程に対する運動の影響を情報処理経路別についての検証が実施可能であるため,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,当初の計画通り,知覚-認知の過程に対する運動の影響を情報処理経路別についての検証に関する実験を行い,知覚-認知機能に対する情報処理“経路”への運動の特異的影響があるのかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため,当初参加予定だった学会参加ならびに被験者を募集した実験が十分に行うことができなかった。また,今年度購入予定であった呼気ガス分析機の購入の必要がなくなったため,物品購入費の仕様予定の変更が生じた。
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