2021 Fiscal Year Research-status Report
筋機能および筋パワー発揮特性と活動後増強効果の関連性
Project/Area Number |
20K19571
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
砂川 力也 琉球大学, 教育学部, 准教授 (50434163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 活動後増強 / 筋機能特性 / レジスタンストレーニング / 速度基準 / 筋パワー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、速度基準のスクワット運動において、速度低下率を用いて反復回数を決定する方法が各セッションの活動後増強に与える影響について明らかにするとともにトレーニング経過を観察し、速度基準によるトレーニング効果と活動後増強の有用性について検討した。その結果、トレーニング効果については、速度低下率の違いによる影響は確認されなかったが、10%の速度低下率を用いた場合、トレーニングによる疲労の影響を抑制できる可能性が示唆された。一方、活動後増強誘発の可能性についてトレーニング経過を観察し検討した結果、20%の速度低下率は、疲労の影響が大きく、活動後増強の誘発率を高める上での利益は極めて小さいことが明らかとなった。また、10%の速度低下率を選択することで、活動後増強の誘発率が高まることが期待でき、トレーニング現場における利益の確率は許容される可能性が示され、少なくとも活動後増強効果に対する疲労のリスクを小さくできると考えられる。本研究でのトレーニング介入は、2つのグループによって実施されている。したがって、個人内における条件設定の違いについて、説明することはできない。本研究結果では、活動後増強効果の出現が個人内と個人間で不均一に存在し活動後増強における個人差の要因を鑑みればリカバリー時間の延長により活動後増強効果を促進できる可能性は否定できないが、本研究の範囲を超えるため、言及は出来ない、今後は,活動後増強に対する速度基準のトレーニング効果について、ターゲットとする速度領域や速度低下率の要因など、さらに検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するにあたり、測定方法の確立、再現性、妥当性について基本的理解が確認できた。未だコロナ禍での実験環境ではあったが十分な被験者を確保することができ、必要なデータ取得は円滑に行えている。当該年度における実験研究では、6週間のトレーニング期間を要したが、実験参加の辞退者は皆無であり、当初の研究計画をおおむね進行することができた点においても順調と言える。 研究期間中に測定機器(リニアポジショントランスデューサー)の不具合が頻繁にみられ、予期せぬ事態が起きたため、急遽、機器のメンテナンスが必要となりその費用が生じた。ただし、前年度同様に関連する学会大会がオンライン開催となる場合が多く、当初の計画予算であった出張費の一部をメンテナンス費用に充てることができたため、研究の進展に大きな影響は出なかった。 現在は、活動後増強効果に関連するスクワット運動の要因について、負荷重量の決定に速度基準を用いた新たなアプローチから分析を進めている。 これらの研究成果を学術論文にまとめ発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は「活動後増強の最適化」に関する変数としてレジスタンストレーニングの速度に着目した実験プロトコルの確立を目指すことが最大の課題となる。これまで、エクササイズ変数に着目し、様々な重量、回数、セット数の組み合わせから、活動後増強に与える影響について研究を進めてきた。現在は、収集済みのデータを分析し、挙上速度や速度低下率などについて考察しているが、活動後増強には特定の個人差が生じる可能性が非常に高いことが推察される。さらに、エクササイズを実施するタイミングによっては活動後増強の有無や増減が存在することが考えられ、新たな知見を得られる可能性が高い。したがって、今後は活動後増強効果の「個別性」に着目し、研究を推進する予定である。 令和4年度は、これまでの研究成果を基に活動後増強効果の再現性や恒常性について検討する。具体的にはスクワット運動の挙上速度を基準に決定された3つの異なる重量に対し、相対的な速度低下率を用いて反復回数を決定する方法を用いて、活動後増強効果に合影響を与える要因について検討する。
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Causes of Carryover |
今年度に必要な研究費に関して、学会等がオンラインの開催となり旅費がほとんど不要となった。そのため、研究を円滑に進行する目的で物品費や消耗品等の支出に充てたが、10,000円程度の差額が生じた。今年度の研究計画に大きな影響はないため、次年度分への繰り越しについては、主に少額の予算区分(消耗品、学会発表費、投稿論文)において、使用する予定である。
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