2020 Fiscal Year Research-status Report
A historical study of 15 years War and sport policy
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20K19583
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
尾川 翔大 日本体育大学, スポーツ危機管理研究所, 助教 (70845817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スポーツ政策史 / 十五年戦争 / スポーツ歴史学 / 総力戦体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「十五年戦争」(1931-1945)の時代におけるスポーツ政策の形成過程と社会的合意を、その組織体制や政策主導者に着目して明らかにすることである。これを通じてスポーツ政策に関する諸問題を歴史的・社会的に位置づけ、これからのスポーツ政策をめぐる問題を考えたい。 今年度は研究の初年度ということで、①これまでの研究代表者の研究成果の整理、②最新の研究動向を捕捉、③資料の発掘・収集・分析、④研究会の開催の4点について同時並行的に実施した。これらの概要は以下の通りである。 ①これまでの研究代表者の研究成果の整理については、研究の視角と未使用の資料を再確認した。研究の視角は、これまでの申請者の研究成果と連続性を持たせる意味で大きな変更はないが、それでも、資料を読み進める中で必要に応じて練り直す予定である。また、これまでの申請者の研究では、研究成果に取り入れきれなかった資料もあるので、それについても見直した。 ②最新の研究成果については、学術書や研究論文を広く探す中でいくつか本研究と関連深い成果を新たに発見した。これらについては今後、研究を進めるために丁寧に検討することにしたい。 ③資料の発掘・収集・分析については、所属する日本体育大学の図書館に本研究と関連する資料が豊富に所蔵されているので、ここで発掘・収集を進めている。また、いくつかの古書店を尋ねるなかで、本研究が対象とする時代の「運動会」に関連する資料も収集することができた。 ④研究会の開催については、本研究に関連深いものとして8回開催することができた。ここでは、最新の研究についての意見交換や、研究代表者の報告機会を設けることができたので、これが本研究を進めていくために役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、これまでの研究代表者の研究を整理するなかで、政党内閣期におけるスポーツ政策と十五年戦争の時代におけるスポーツ政策を連続的に捉えることが課題として残され、また、十五年戦争の時代におけるスポーツ政策の在り方の推移を辿ることもできていないことを確認した。 次に、資料の発掘・収集を進めていく中で、これまで研究代表者が注目してきた政党内閣期における文部省の政策主導者が、本研究が対象とする「十五年戦争」の時代においても、スポーツ政策に対して一定の影響力をもっていたことを裏付ける資料がみつかった。これの分析については途上の段階にあるが、この見通しは十五年戦争の時代におけるスポーツ政策を連続的に捉えるという、本研究の課題の達成に向かうものであり、これまでの研究代表者の研究成果と本研究の連続性をもたせることである。ただし、現段階では、見通しが得られたと言っても、分析の途上の段階にあるので、引き続き分析を進めることにしたい。 以上のことから、今年度の研究活動は全体を通して見た場合に、研究成果を公表していくための準備を整えることができたと考えられる。そのため、おおむね研究計画に沿って進めることができたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画については、基本的には今年度と同様の手続きで進めていく予定である。①これまでの研究代表者の研究成果の整理については、今年度におおよそ深めることができたので、今後は特に、②最新の研究動向を捕捉、③資料の発掘・収集・分析、④研究会の開催の3点について時間を割き、同時並行的に実施することにしたい。
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Causes of Carryover |
当初の予定として資料収集のための旅費を申請していたが、新型コロナウィルスの影響により断念せざるを得ない部分があったので、これについて当初の計画を変更することになった。次年度使用額のうち、資料蒐集のための旅費については社会状況をみながら用途を決定することとし、それの代替として、貴重な資料の購入に多くを充てることで補完する予定である。
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Research Products
(2 results)