2020 Fiscal Year Research-status Report
量的および質的データに基づく開脚跳ができるようになるための跳び箱運動指導法の確立
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20K19596
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
林 陵平 岐阜大学, 教育学部, 助教 (20805486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 体育科教育 / 器械運動 / 開脚跳び / バイオメカニクス / コーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,研究代表者が開発した着手位置をより遠くに誘導するマットセンサーと長さを変化させることが可能な多段階式の跳び箱を用いた開脚跳びの指導法を確立することを目指している。 R2年度には,既に取得済みのデータを用いて,マットセンサーと多段階式の跳び箱を用いた開脚跳びの指導を行った場合,開脚跳びができない子どもがどのような過程を経て開脚跳びができるようになるのかを事例的に検討した。 これまでに開脚跳びで跳び箱を跳ぶことができない児童13名(男子児童11名,女子児童2名)を対象として,開脚跳びで跳び箱を跳ぶことができるようになる過程をビデオカメラで記録するとともに,インタビュー調査によって事例的に検証した。 その結果,これまでに開脚跳びで跳び箱を跳ぶことができない児童の多くは,マットセンサーを用いることにより,「跳び箱を跳ぶ」ではなく,「マットセンサーを鳴らす」ことが授業のめあてとなり,より遠くに着手することができるようになることが示された。加えて,小学生で用いられることが多い長さ80cmの跳び箱よりも短い跳び箱(30cm,50cm,60cm)を用いることにより,跳び箱に対する恐怖心が低下することが示された。また,児童の振り返りでは,「音がなって楽しかった」,「次の跳び箱の授業が楽しみになった」,「次はもっと高い高さの跳び箱に挑戦したい」,「跳び箱が跳べるようになって嬉しい」といった振り返り内容が表出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R2年度には当初,開脚跳びができるようになることに対して,開発したマットセンサーと多段階式の跳び箱のどちらの教具の影響力が高いのかについて,バイオメカニクス的な手法を用いて明らかにすることを課題として設定していたが,コロナウィルス蔓延の影響により,実験を行うことが困難となった。 しかしながら,R3年度に予定していた課題に必要なデータは既に取得済みであったために,マットセンサーと多段階式の跳び箱を用いた開脚跳びの指導を行った場合,開脚跳びができない子どもがどのような過程を経て開脚跳びができるようになるのかを事例的に検討することができた。 これらの理由から,本研究が「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度には,開脚跳びができるようになることに対して,開発したマットセンサーと多段階式の跳び箱のどちらの教具の影響力が高いのかについて,バイオメカニクス的な手法を用いて明らかにすることを課題としている。 実施する予定の実験では,開脚跳びで跳び箱を跳ぶことができない児童を対象として,80cmの跳び箱を開脚跳びで跳ぶことができるようになることを課題として設定し,挑戦させる。その際に,マットセンサーのみを用いて課題に取り組む群と多段階式の跳び箱のみを用いて課題に取り組む群に対象者を分ける。踏切から着地までの局面の映像をハイスピードカメラで撮影し,助走局面,踏切局面,第一空中局面,着手局面におけるキネマティクスデータを算出し,算出された各変数を2つの群で比較する。これにより,それぞれの教具が開脚跳び中の動作に対して,どのような影響を及ぼすのかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入を希望していた物品と異なるものを購入したために,多少の次年度使用額が生じた。次年度使用額については,学会参加費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)