2020 Fiscal Year Research-status Report
集団スポーツにおける連携技能が教室授業での他者との相互調整へ与える影響
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20K19598
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
加納 岳拓 三重大学, 教育学部, 准教授 (50734810)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協調 / 連携 / 発話 / 視線 |
Outline of Annual Research Achievements |
体育授業と教室授業における他者との協調の関連を調べるために、小学校第3学年を対象とした授業実践(体育授業6時間、算数授業4時間)のデータを採集した。体育授業はオニ2人対コ3人の突破型の鬼遊び(ゲーム時間1分、縦6m×横5m)、算数授業ではわり算の単元であった。算数授業では、毎時間ペア活動が2回組織され、前半は基礎問題について、後半は発展問題について考えを2人で確認、構成していくことをねらいとされていた。各授業中のペア関係を調査するために、鬼遊びでは1ゲーム毎のオニ2人の位置データをFramediasⅤで1/10秒ごとに記録した。その位置データから、1ゲームあたりのオニ2人の移動距離とオニ2人のX軸の二車間距離を算出した。算数では授業中に教師から指示があったペア活動時の発話と1秒毎の視線の位置を記録した。そこから、発話の種類の分類(誘導的・応答的・無関係)と視線の位置の分類を行った。 その結果、鬼遊びのオニの2人が一定の二者間距離を保持でき、移動距離が少ないペアほど、算数の発話の分類として、自分の考えを一方的に発する発話ではなく、他者の発話内容に応答する発話頻度が高いこと、またペアの相手が話している最中に課題に関する位置に視線が向いていることが結果として表れた。この結果は、身体運動を主とする体育授業と思考を主とする教室授業の行為の間に、何らかの関係がある可能性を示している。 この結果の一部は、日本スポーツ心理学会第47回大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実践のデータをもとにした分析を進めることができ、概ね結果として表れてきているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のデータから、体育授業と算数授業の関連を示す研究の枠組みを精査し、研究論文として投稿予定である。
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Causes of Carryover |
本年は、コロナ感染症によって出張(学会発表や研究打ち合わせ)がすべてオンラインとなったことが影響している。生じた使用額については、主として国際雑誌への投稿に関わって必要となる経費として使用予定である。
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