2022 Fiscal Year Annual Research Report
集団スポーツにおける連携技能が教室授業での他者との相互調整へ与える影響
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20K19598
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
加納 岳拓 三重大学, 教育学部, 准教授 (50734810)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協調的スキル / 体育授業 / 教室授業 / 役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学3年生を対象とし、体育授業では、ゴールラインを目指す攻撃者3人の通過を守備者2人が阻止するゲーム(鬼遊び)を実施した。鬼遊びにおける守備者の動きに着目し、個人の行動として各守備者の動きの効率性を、ペアの行動として守備者2人の二者間距離を分析した。算数授業では、わり算の概念を理解する際のペア活動を検討した。ペア活動中の話し手と聴き手の振る舞いを観察した。個人の振る舞いとして話し手の応答的発話と聴き手の視線方向からの応答的態度を、ペア活動中の役割交替をペアの振る舞いとして分析した。そして、両課題における行動間の関係を分析した。両課題の結果から、鬼遊びにおける個人の移動効率性と二者間距離、算数授業における個人の応答的態度とペアの役割交替の頻度の間に正の相関が認められた。さらに、両課題における個人の行動とペアの行動において有意な相関関係が見られた。 これらの結果から、鬼遊びで仲間の守備者へ注意が向かず自由に動き回る傾向の児童やペアは、教室授業でのペア活動を「自分の考えを伝える場面」と捉えていること、反対に、鬼遊びで失点を少なくするために、お互いの位置や動きを気にしながら動く児童やペアは、教室授業のペア活動を「互いの考えを共有する場面」と捉え、お互いの考えを聴く行為をとることができることが明らかとなった。そして、他者と意図して協調することは、目の前の課題を二者が協調して解決することが必要な場面では、活動の種類を問わず共通するスキルであることも明らかとなった。この研究内容は、国際誌に掲載された。 また上記の研究内容に関連し、体育が学校教育の中で人間らしく生きる上での基盤教科になることを示唆した「体育授業と教室授業における他者との協調的スキル」を博士論文として提出した。
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Research Products
(4 results)