2021 Fiscal Year Research-status Report
体育・スポーツにおける「女子の特性」に関する知の歴史研究
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20K19611
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
春日 芳美 (春日芳美) 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20645303)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女性の身体とスポーツ / 女性に関する知 / 月経とスポーツ / 海外文献の翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、前年までの作業による成果を受けて論文執筆を行った。 明治期の日本における月経と女性の身体運動の関係に関する考え方は、旧来からの女性の身体に関する東洋的思考と併せて、ドイツやイギリスの医学的知識に関する文献が専門家によって読まれ翻訳されることにより「論理的裏付け」を得た。主に男性を中心とする専門家や医師が設定した「女性の限界」についての史料を考察・検討した。この内容については、日本語論文を執筆し現在投稿中(査読審査中)である。 また、この論文を執筆する過程において、専門家による「海外文献の翻訳」に関する史料の調査を行った。その中で外国文献の翻訳過程における「重要なキーワードの誤訳」という新たな視点を得た。明治・大正期における体育・スポーツ関連文献の翻訳について検討する中で、外来文化の日本語への翻訳について検討した。その中でも象徴的な「誤訳」として、植物の「オリーブ(olive)」を「月桂樹(laurel, bay leaf)」と翻訳している問題が明らかになった。このことを調査した結果として、当初の研究計画にはなかった論文「オリンピックとオリーブ冠」を執筆し、この論文は大東文化大学研究紀要に掲載された(詳細は「令和3年度の研究成果」に記載)。 月経中の女性の身体運動について検討する過程で得られた「海外文献の翻訳」という視点は、今後の研究にも重要な意味をもつと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
月経と女性の身体運動に関連する論文については、執筆した論文の査読状況が進まず、研究誌への論文掲載に至っていない。 一方で、当該論文の執筆過程で新たに得られた海外文献の翻訳過程における「重要なキーワードの誤訳」という視点から執筆した「オリンピックとオリーブ冠」に関する論文は、大東文化大学研究紀要に掲載された。 以上の点から、作業は進めているが、進捗状況の区分としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、課題は明確であるので資料収集と論文執筆作業を継続して行う。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国際学会に、コロナ禍によって海外渡航ができなかったことから不参加となったことが主な理由である。今後の助成金執行については予定通り行い、未使用となった旅費については今後の海外渡航費用が感染症対策や円安の影響などにより高額になることも想定して計画的に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)