2020 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し動作の変動における生理学的因子の解明および変動抑制装置の開発
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20K19617
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
瀧 千波 摂南大学, スポーツ振興センター, 助教 (40844311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋出力 / ゆらぎ / 自律神経活動 / DMCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒトが繰り返し動作を行った際に発生する意図せぬ出力のばらつきの生理学的メカニズムを解明するために、特に自律神経活動に焦点を当てて検討した。 初年度は、自律神経と運動神経の関係性について検討した。自律神経活動に制御を受ける血圧や心拍は安静時であっても時間変動し、脊髄α運動ニューロン興奮性を示すH波振幅も安静時であっても時間変動する。そのため、安静時の各時系列のゆらぎが、相互に影響している可能性がある。そこで、基礎的検討として、安静仰臥位にて20分間自律神経活動を示す血圧と運動制御機構を構成する脊髄運動ニューロン興奮性を示すH波を同時に記録した。この各時系列データの動的特性を評価する手法として、本研究ではdetrending moving average analysis(DMA)を用いて、スケーリング指数αを算出し、動的特性を評価した。また、2つの時系列間の長時間相互相関を定量化するために、detrending moving-average cross-correlation analysis (DMCA)を用いた。各時系列データの非線形特性および相互相関の有意差検定をするために、サロゲート時系列を生成し、サロゲート時系列に対してもDMAおよびDMCAを行い、元の時系列データとの比較を行った。その結果、各時系列データには非線形特性が確認され、H波振幅時系列と血圧時系列間で相互相関が認められた。 この結果を基に、最大随意収縮直前の血圧を測定し、最大随意収縮を発揮させた。最大随意収縮の値で成功群、失敗群を分け、両者を比較したところ、成功群では直前安静時の収縮期血圧が失敗群と比べて有意に高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナによる影響で環境の確保や実験対象者の確保が困難であり、予想以上の時間を要し、解析が遅れている。そのため、次年度に実施予定であるシミュレーション実験のためのパラメータ同定等を前倒しで行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した研究の解析を進める。また、結果を基に、装置開発のためのシミュレーション実験を行う。シミュレーションから算出された最適なノイズ刺激を用いて、装置開発を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に関して、参加予定であった学会がオンラインに切り替わったこと、実験計画に一部変更が生じたことなどから繰越額が生じた。繰越額についてはこれらの費用に主にあてるとともに、翌年度分として請求した助成金については翌年度に行う実験に必要な物品購入及び研究成果発表のための費用にあてる計画である
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