2021 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し動作の変動における生理学的因子の解明および変動抑制装置の開発
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20K19617
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
瀧 千波 摂南大学, スポーツ振興センター, 助教 (40844311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フラクタル / 最大随意収縮 / H波 / 自律神経活動 / 確率共振 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では個人内で同一動作の繰り返し時に発生する意図せぬ動作の変動と、自律神経活動のゆらぎとの関係性について明らかにし、動作の変動を抑制する装置の開発を目的としている。 2021年度は、昨年度実施した自律神経活動と体制運動神経活動の両者の変動について追加解析を行い、確率共振を応用した装置開発のために、身体に印加するノイズ刺激の最適化についてシミュレーションを行った。 安静時より計測した呼吸曲線、およびH波振幅時系列データについてdetrending moving-average cross-correlation analysis (DMCA)を用いて長時間相互相関が両者に存在するか否かについて検討した。その結果、呼吸曲線とH波振幅時系列の間に長時間相互相関がみられた。そのため、呼吸の変調によって、H波振幅を変調させる可能性が示唆された。 実測した安静時におけるH波振幅変動のデータを基に、様々なパワースペクトル密度の形状を持ち、長時間相関特性が異なる時系列データを作成した。生体内に印加するノイズについては、周波数特性や合成パルス波形、刺激強度等が異なった組み合わせを複数パターン作成し、時系列データに対してノイズを印加する確率共振の数値シミュレーションを行った。その結果、カラーノイズを印加することで確率共振現象を確認でき、特にホワイトノイズ、ピンクノイズにおいて、スケーリング指数が1に近づくことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定通り、H波振幅変動に対して最適なノイズ刺激を決定するためのシミュレーションを行った。その結果、元の時系列信号のスケーリング特性を考慮したうえでの適切なノイズの実効値を算出した。これを基に次年度に行う装置の開発についての、部品選定等を進めている。 また、一部遅れが発生していた昨年度の分の実験データの追加解析についても終了しており、現在論文投稿についても進めている。 以上より、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に関しては、数値シミュレーションから算出したノイズ刺激の実効値を基に制御装置の開発を行う。現在までおおむね計画通りに進展しているため、基本的には最終年度も計画通りに進める。 上記で得られた研究結果の解釈を深め、学会発表や論文投稿に向けて取り組む。
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Causes of Carryover |
2021年度に参加を予定していた国際学会がオンライン開催に変更になったため旅費の必要がなくなり、その分の差額が発生した。 2022年度は計画予定よりも多くの会議へ参加して情報発信を行う。
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