2020 Fiscal Year Research-status Report
片側上肢の運動がもたらす反対側上肢への運動プライミング
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20K19620
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
木内 隆裕 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80711986)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動プライミング / 上肢 / 経頭蓋直流電流刺激 / 驚愕応答効果 / 神経生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
片側上肢/下肢のトレーニングによる反対側上肢/下肢の増強効果については、運動技能や筋力だけでなく瞬発力でも報告されている。瞬発力を扱った報告では上肢の運動を観察したものが多く、大脳皮質と皮質脊髄路を中心に神経相関の一端が明らかにされている。本研究では、瞬発力を最大限に発揮する運動(以下、バリスティック運動)を用い、片側上肢によるバリスティック運動が、その後に行う反対側の上肢トレーニングを促進するかどうかを、(非侵襲的方法で行える範囲で)運動学的かつ神経生理学的に明らかにすることを目的としている。 当初計画とは異なり、2020年度は実験室内における新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)感染予防のための情報収集と環境整備から始めることとなった。所属学会及びその関連学会から発表されたガイドライン等を参考にしながら、予防のための知識補充と実験室の環境整備を行った。しかしながら、所属機関の方針を踏まえて実験を自粛していた期間が比較的長く、予備実験にもなかなか着手できなかった。また、教育業務における大幅な修正が急務であったため、総職務時間に占める研究時間割合(以下、研究エフォート)が大きく減少した。 当初計画では、研究1として、片側上肢バリスティック運動が反対側上肢にとっての運動プライミングとなりうる至適回数を検討する予定であった。しかしながら、実際にはバリスティック運動を計測するための実験系セットアップを終えたのみで、その他の計画は次年度に持ち越すこととなった。研究2として、従来法より精細度の高い経頭蓋電流刺激を含む実験系セットアップ及び予備実験を計画していたが、実際には購入機器の再検討が必要となり、その探索・選定に時間を要したため、予備実験を含むその後の計画は次年度に持ち越すこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題は、比較的狭い部屋で行う実験によって構成した計画であったため、コロナ禍の影響を直接的に受けた。また、担当している教育業務のほうで工夫と修正を繰り返さざるをえない状況が生じ、当初見込んでいた研究エフォートが大幅に減少した。この2点が、研究の進捗が遅れていることの大きな理由である。 具体的には、研究課題採択前の3月からCOVID-19感染拡大の影響が勤務地域で出始め、採択通知を頂いた頃には大学の方針として実験が中止されていた。夏頃にはCOVID-19の感染規模が縮小して研究活動を段階的に再開することができたが、開講期間が延期されていた前期の教育業務、及び、予定どおりに開講された後期の教育業務と重なり、エフォートを研究に割り当てることができなかった。その後も担当している教育業務にエフォートを割り当てざるをえない状況が続き、勤務地域の感染状況に応じて研究活動を進められる時期はあったものの、研究エフォートを増やすことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点ではコロナ禍が急速に終息することは期待しにくいため、感染規模が縮小している時期に、所属機関の方針に従って、当初研究計画のうち遂行可能な予備実験から着手していく。研究遂行上の課題は、実験室内でのCOVID-19感染リスク及びその不安による被験者募集の停滞、並びに、感染状況が改善している時期と研究エフォートを増やせる時期とのミスマッチが挙げられる。 感染リスクへの対応として、すでに最大限の感染症予防用品を実験室に備えており、実験補助者に対する感染症予防策の指導も完了している。被験者募集の際には、これらの対応策について十分にアピールすることで不安を和らげ、安定した被験者の確保と保護に努める。 研究エフォートに関する対応として、一般に公開されているCOVID-19感染規模の予測データ参照しつつ、昨年度のオンライン教育業務の経験を十分に整理・活用する。これにより、タイミングよく研究エフォートを増やせるようにする。
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Causes of Carryover |
当初購入予定だった刺激装置の性能を改めて吟味した結果、個々の電極に流れる電流の強度を測定できないことが明らかとなり、購入機器の探索・選定をやり直すこととなった。その結果、個々の電極の電流強度測定が可能で、かつ、交付額の範囲内で購入できる刺激装置を見出した。しかし、製造元が海外企業であることも影響して、製品スペックの吟味に関するコミュニケーションが思いどおりに進まず、年度内に購入を決断できなかった。そのため、比較的高額の次年度使用額が生じた。 ただし、その海外企業がweb上で公開している情報や、当該製品が使用された研究論文なども検索しながら、ゆっくりではあるが検討は進んでおり、2021年度中に購入する予定である。比較的高額の刺激装置であることから、次年度使用額の多くをこの装置の購入に充てる予定である。
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