2020 Fiscal Year Research-status Report
一過性の運動がインスリン分泌能力に及ぼす影響 ~糖輸送体GLUT-2に着目して~
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20K19636
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
野中 雄大 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員 (30866645)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国において、糖尿病人口の増加が大きな社会問題となっている。糖尿病は、骨格筋などのインスリン標的器官におけるインスリン効果の悪化、もしくは、膵臓からのインスリン分泌能力の低下が発症の原因である。その際、欧米人とは異なり、日本人ではインスリン分泌能力の悪化が原因で糖尿病を発症する場合が多く、インスリン分泌が低下した膵臓の機能を改善する手法の開発が求められている。これまでの研究において、運動は生体内で最大の血糖処理器官である骨格筋のインスリン抵抗性を改善させることで、糖尿病の予防・改善に効果的であることが報告されている。しかしながら、運動が糖尿病の進行によるインスリン分泌能力の低下を改善できるのかについては明らかとなっていない。 本研究では、膵臓のインスリン分泌能力が低下したマウスを対象に研究を行う予定である。そこで本年度は、膵臓のβ細胞を破壊することで糖尿病モデルマウスの作成に用いられるストレプトゾトシン(STZ)の投与量の違いが、耐糖能および膵臓のインスリン含量に及ぼす影響について検討した。その結果、体重1kg当たり100mgのSTZを腹腔内に単回投与したマウスでは、投与後2週間まで空腹時血糖の上昇は認められなかった。一方、STZを150 mgおよび200 mg腹腔内に単回投与したマウスでは、投与3日後には空腹時血糖が著しく高値を示した(150mg; >250 mg/dL, 200mg; >500 mg/dL)。また、経口糖負荷試験による耐糖能も悪化しており、その際の血中インスリン濃度もSTZ濃度依存的に低値を示した。さらに、これらのマウスについて、蛍光免疫染色により膵臓のインスリン含量を検討した結果、STZ濃度依存的にインスリン含量が減少し、糖負荷試験中のインスリン分泌量と同様の結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、インスリン分泌やインスリン含量を低下させるストレプトゾトシンの濃度を検討することができた。研究は当初の計画通り順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の結果を用いて糖尿病モデルマウスを作成し、運動が膵臓のインスリン分泌能力やインスリン含量に及ぼす影響を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究では、糖尿病モデル動物を薬剤により作成したため、高額な糖尿病モデル動物を購入しなかった。また、購入すべき物品を別の予算で工面できたため、翌年度分に使用する予算とした。これらは、翌年度の消耗品や実験動物の購入に使用する予定である。
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