2020 Fiscal Year Research-status Report
新生児の腸内細菌叢の確立とインスリン分泌調節機能の成熟
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20K19637
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 亮佑 京都大学, 医学研究科, 医員 (20848212)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インクレチン / 腸内細菌叢 / 早産児 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「インスリン分泌調節機能の成熟に腸内細菌叢の確立が関与している」という仮説について検証することを目的として、以下の2つのアプローチを計画している。 ①大きな血糖変動を呈する児におけるインクレチン・インスリン分泌と腸内細菌叢の解析(大きな血糖変動を呈した児と、コントロールとしての正常正期産児・早産児において、インクレチン分泌・インスリン分泌や腸内細菌叢を解析する) ②出生前・後の環境や状況が児の細菌叢に与える影響を検証(母体の膣・腸内細菌叢、羊水中の細菌叢、胎便の細菌叢を解析、また、細菌叢に影響を与えうる臨床的因子の情報を収集) 2020年度は、特に血液・便検体の採取を行ってきた。インクレチン分泌やインスリン分泌を測定するための血液検体はかなりの症例数(約50例)が集まっている。しかし、大きな血糖変動を呈する児が当初の見込みよりも少なく、数例しかいないため、今後も症例の集積を目指していく。また、インクレチン・インスリンの実際の測定のための試薬の供給が遅れており、実際の測定は2021年度に行う。細菌叢の解析も開始が遅れており、年度後半から便や膣分泌物の検体の収集を開始した。 早産児のインクレチン分泌とインスリン分泌については、これまでのデータ蓄積と合わせて、以下の2点を報告した。①早産児でも正期産児と遜色ないインクレチン分泌を行っていること、②早産児でも、生後の経腸栄養確立に伴ってインクレチン分泌が促進されること(J Diabetes Investig 2020)。この成果は、本研究におけるコントロール群において、生後にインクレチン分泌調整が確立してくることを裏付けていると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のコントロール群である、正常新生児・早産児の血液検体収集は計画通りに進んでいるが、主たる解析対象である、大きな血糖変動を呈する児が当初の見込みよりも少なかった。また、インクレチン・インスリンの実際の測定のための試薬の供給が遅れており、検体収集は行えているものの、実際の測定はまだ一部しか行えていない。細菌叢の解析も開始が遅れており、年度後半から便や膣分泌物の検体の収集・解析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、血液・便・膣分泌物からの検体収集を続けていく。インクレチン・インスリンの測定のための試薬が供給され次第、保存してある検体の測定を行っていく。細菌叢解析も引き続き行っていく。
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Causes of Carryover |
インクレチンやインスリンを測定するための試薬の供給や細菌叢の解析が遅れており、2020年度中に購入予定だった試薬が購入できなかった。 試薬の供給が再開され次第購入し、保存してきた検体を測定していく予定である。
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