2020 Fiscal Year Research-status Report
ストレス応答分子HO-1を介した新規抗筋萎縮シグナルの解明
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20K19639
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内田 貴之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00803561)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋萎縮 / HO-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでに、ミトコンドリアの機能(エネルギー代謝)異常や鉄代謝異常、および酸化ストレスが筋萎縮を誘導することを明らかにしてきた。これらの因子は相互作用して筋萎縮を誘導すると考えられてきたが、どのように協調して筋萎縮が誘導されるかは不明な点が多かった。そこで研究代表者は、これらの相互作用を制御する因子としてヘム酸素添加酵素(HO-1)に着目した。生体内においてHO-1は、酸化ストレスなど種々のストレス環境に応じて発現誘導され、抗酸化作用・エネルギー代謝改善作用を示すことが報告されている。このため、萎縮環境での酸化ストレス・鉄・エネルギー代謝の異常にはHO-1が関与していると考えられる。そこで本研究では、HO-1が萎縮筋における酸化ストレス・鉄・エネルギー代謝異常に中心的な役割を担っているかどうかを検証する。 本年度は、siRNAによるHO-1ノックダウンまたはHO-1の増強が筋細胞に与える影響を解析するため、これらの実験系の確立を行った。その結果、C2C12筋細胞へのHO-1 siRNA処理によってmRNAで80%以上、タンパク質レベルで70%以上のノックダウン効率が確認された。また、HO-1のノックダウンおよび増強は、C2C12筋細胞を用いた筋管形成試験においては著明な変化を認めなかった。次年度では、これらの細胞実験系を用いて、ミトコンドリアの機能性評価・エネルギー代謝・筋萎縮抑制効果について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は申請書の計画に従い、HO-1をノックダウンまたは発現を増強した筋細胞でのエネルギー代謝・筋タンパク質動態を中心に解析を進めている。これらの実験系を用いて、次年度中には筋肉におけるHO-1を中心としたエネルギー・鉄代謝連関のさらなる解明が進められると考えている。これらを総合的に判断して「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、筋萎縮モデル細胞でのHO-1発現の有無による萎縮シグナルの変化について解析を行う。さらに、メタボローム解析によるエネルギー代謝経路の網羅的解析やミトコンドリアの形態制御に関わるタンパク質の発現変化など、エネルギー代謝系の解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
R2年度で解析を予定していたメタボローム解析が行えなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて、関連試薬・費用で使用予定である。
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