2022 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋および神経機能低下はケトン食で改善可能か? -サルコペニア予防を目指して-
Project/Area Number |
20K19652
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
鴻崎 香里奈 日本体育大学, 保健医療学部, 助教 (30739769)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケトン食 / 骨格筋 / 筋線維横断面積 / ミトコンドリア / 遅筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ケトン食が骨格筋と神経へ作用する分子メカニズムの解明と、ケトン食による骨格筋と神経の機能低下を抑制可能かを検証するために、マウスを対象として脂質90%、糖質0%、タンパク質10%からなるケトン食を6週間摂取させた。2 0年度および21年度の実験において、ケトン食を6週間摂取したマウスの筋湿重量は、脂質10%、糖質70%、タンパク質10%からなる通常食を摂取したマウスと同等であった。22年度では、筋線維サイズや筋線維組成はケトン食介入の影響を受けるかを検証するために、摘出したマウス腓腹筋の筋線維組成評価および筋線維横断面積の計測を実施した。その結果、ケトン食を摂取したマウスでは、ミオシン重鎖SLOWタイプのタンパク質発現量が通常食を摂取したマウスより有意に増加(約6%)していた。また筋横断面積は、通常食を摂取したマウスと比較して増加傾向(p=0.059、2023年4月時点)であった。これらの結果から、6週間のケトン食摂取は筋線維サイズの変化や、遅筋線維の増加をもたらす可能性が明らかとなった。次に、ケトン食摂取によって遅筋化が生じるメカニズムを探るために、骨格筋の遅筋化に関連するシグナルタンパク質である活性化型カルシニューリン、PGC-1αのタンパク質発現を解析したが、通常食を摂取したマウスとの差は認められなかった。今後の展望として、筋線維の遅筋化に関与する主要なシグナルであるNFATc1やMEF2、あるいはNFAT-カルシニューリン以外のシグナル分子の関与について検討したい。
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