2020 Fiscal Year Research-status Report
健康行動を規定するICTによる無意識的動機づけの研究:消費者行動の視点からの検討
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20K19653
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
藤田 美幸 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 准教授 (60788917)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スポーツ消費者行動 / 健康スポーツ行動変容 / ゲーミフィケーション / ヘルスケアプロモーション / ヘルスケア消費者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、次の2つの問を解くことにある。(1)ICTを活用した健康関連サービスは、消費者行動にどのように影響を与えているのか、(2)ゲーミフィケーションと達成関連語句の刺激が健康消費者行動の動機づけにどのような影響をおよぼすのかである。 この目的を達成するために、2020年度は、年次計画に従い4月から関連する文献と資料を収集・調査し、今後の研究計画をより詳細に組み立てた。これにもとづき、8月から9月にかけてICT健康関連サービスの事例調査のためNike社(アメリカ、ポートランド市)へのインタビュー調査を実施予定であった。しかしながら、世界的に新型コロナウィルス感染症のパンデミックとなり、アメリカへの渡航が困難となったため、これまでの調査から得たデータを再整理した上でICTと健康関連サービスの消費者の動機づけに焦点をあてた調査を実施した。これによって、消費者がICTのひとつであるスマートフォンなどのデバイスから表示される語句や画像によって影響が及ぼされるということが明らかになり、この結果を学術論文や学会での口頭発表を通して発表した。このことから研究全体としては進展したといえる。 特にオンラインで実施される健康スポーツサービスにおける消費者行動の動機づけについて、先行研究では事例も少なく明らかになっていなかったが、オンラインマラソン大会を事例とし参加者の発話について内容分析を実施した。その結果、オンライン上でも「他者との結びつき」の因子が確認され、他者の存在によりサービスとの関係性が高まり、動機づけに影響を及ぼす可能性が示唆された。 新型コロナウィルス感染症の収束が見込めない2021年度以降は、研究計画を再考し本研究の更なる深化につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症による世界的なパンデミックのため、アメリカをはじめ日本においてもインタビュー調査は中断せざるを得なかった。一方で、スポーツ大会など、様々な分野でオンライン化が急速に進展し、ICTを活用した健康関連サービスが勃興した。その事例研究を進め、学会で口頭発表を行い多くの研究者から助言を得た。また、これによって議論を進展させ学術論文で発表をした。その際も、査読者の方々から有益な助言を多くいただいた。これらのことから当初の計画から実際の社会状況に応じて若干の変更はあるが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2020年度に実施予定だった調査計画を遂行し、学会での口頭発表や学術論文を通して公表する。当初の計画にもとづき、(1) ICTを活用した健康関連サービスに関する資料を収集し動機づけに関する文献・資料調査研究をおこなう。(2)各種調査にもとづき、健康関連サービスについて、達成関連語句・ゲーミフィケーション要素・消費者行動に関する事例研究をおこなう。(3)以下の3つの刺激「達成関連語句」、「ゲーミフィケーション」、「2つを合わせたもの」において、消費者行動の動機づけへの影響について定性調査および定量調査をする。定性調査の対象者は、健康サービスの関与度の高低に応じ複数グループを設定した上でグループを比較し分析する予定である。しかしながら、新型コロナウィルス感染症が収束しない場合には、メールや電話に加え、オンライン会議システムを活用した聞き取り調査も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、アメリカでの調査が困難になったため、それにあてる予定だった旅費と人件費・謝金を使用することができなかった。加えて、国内外の学会も中止やオンラインでの開催となり、旅費を使用することができなかった。そのため次年度に費用が繰り越され、次年度使用額が生じている。 元々、次年度の直接経費には、企業への調査にあてる旅費と人件費・謝金を計上していなかったため、2020年度に実施する予定だった現地調査を次年度に実施する。また、次年度の研究経費として計上していたICTを活用した健康関連サービスに関する情報収集や成果発表のための学会参加費や旅費についても、すでに学会発表を申請していることから予定通り使用する。
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Research Products
(4 results)