2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者に対する高強度短時間運動の効果検証-脳の機能的結合性とBDNFによる解明-
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20K19658
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Research Institution | Naragakuen University |
Principal Investigator |
中島 大貴 奈良学園大学, 保健医療学部, 助教 (00827280)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高強度間欠的トレーニング / 高齢者 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,①高齢者に対する1回の間欠的高強度運動(High-Intensity Intermittent Training;HIIE)介入が,認知課題パフォーマンスおよび脳血流動態に与 える即時効果を明らかにすること,②高齢者に対する長期的なHIIT介入が,認知課題パフォーマンス,脳の機能的結合性,血清BDNFに与える影響を明らかにする ことである. 今年度は,研究課題①の仮説を強調するために,若年者を対象に疲労困憊に至らないHIIEでも血清BDNF濃度が変動するかを明らかにした.この研究でのHIIEは,今回採用している運動様式と同様のTabata trainingである.その結果,疲労困憊に至らないHIIEは疲労困憊に至るHIIEと同様に運動後の血清BDNF濃度を上昇させ,疲労困憊に至らないHIIEでも認知機能低下を予防できる可能性が示された.本研究内容は昨年度に雑誌掲載された. 本研究でのHIIEは休息と20秒間の高強度運動を1セットとし,8セット繰り返すプロトコルを採用する.運動強度は最大心拍数の80%としている.高齢者が最大心拍数の80%に至る運動に関して,馴染みのあるラジオ体操の項目から運動を抽出して検討した.その結果,屈伸運動6-7セットとジャンプ運動1-2セットを組み合わせる方法が適応できると考えている.現在,これらを踏まえて研究を進めている.,Stroop課題のNeutral課題とIncongruent課題の間に反応時間の差があり,一般的にみられるストループ干渉は観察された.また,Stroop干渉に関連する課題の反応時間は,Controlと比較してMICTおよびHIIT後に短縮した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度は,一昨年度に続き,学内での危機管理委員会の承認を得る必要があり,実験中はマスクを着用しないため,感染対策の観点からも実施が困難な時期があった.これまでCOVID-19の期間に研究が中断した影響で,参加者数の減少もあったことから,新規での研究参加者も募集し,事前問診から実施した.しかし,これまでデータ収集の中断期間もあったことからデータ収集が非常に遅れていると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在データ収集を再開しており,2024年度上半期でデータ収集を完了し,論文執筆および学会発表の準備を進めていきたいと考えている.COVID-19の期間は研究中断をしていたこともあり,同意取り消しや健康状態の変化もあった.そのため,新規での研究参加者も募集している. 研究課題Ⅱ「高齢者に対する長期的なHIIT介入が,認知課題パフォーマンス,脳の機能的結合性,血清BDNFに与える効果の検討」についは,研究課題Ⅰの実施中より開始する予定である.運動(HIIE)後の有害事象について研究課題①で確認しつつ,研究課題Ⅱについて進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
物品費は血液分析で必要となる費用が必要となる.人件費については,COVID-19の影響により,データ収集が困難であったことから,研究対象者への謝金の使用がなかったが,次年度は必要となる.旅費については,データ収集が完了しておらず,学会発表に参加が困難であったため使用はなかったが,研究分析に関する情報収集やデータ収集後の学会発表を計画している.その他に計上していた論文校正費については,研究課題の仮説を明確化するための分析結果を報告した際に使用したが,研究課題Ⅰ・Ⅱの研究のデータ収集が困難であったことから,次年度も英文校正費が必要になると考える.
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