2020 Fiscal Year Research-status Report
栄養素バランスに着目した食欲不振によるサルコペニアに対する栄養食事療法の検討
Project/Area Number |
20K19659
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
村木 悦子 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (80369157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サルコペニア / 高齢 / 食欲不振 / 高たんぱく質 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、薬物誘導性食欲不振モデルの高齢マウス(B6J Aged mouse)を用い、食欲低下でエネルギーを十分に確保できない高齢者において、効率よくサルコペニアを予防できる栄養食事療法を確立するための最適な栄養素の摂取バランスを見出すことを目的として、エネルギー産生栄養素の各低減食による検討(実験1)、エネルギー産生栄養素の各増加食による検討(実験2)、ビタミン・ミネラル強化食による検討(実験3)の3実験を実施して検討を行う予定である。 初年度は実験1と実験2を実施した。いずれの実験においても、高齢マウスの薬物への反応が予想以上に高かったため、食欲低下を引き起こすシスプラチンの投与回数を、当初の研究計画の週1回(計4回)投与から、初回の1回のみの投与に変更して実験を行った。 実験1では、低炭水化物食(高たんぱく質・高脂質食)を投与した群において、1週間以内に1個体を除く全個体が脱落し、実験2では、高たんぱく質食(低脂肪・低炭水化物食)を投与した群において、2週間以内に全個体が脱落した。いずれの実験においても、高たんぱく質食はたんぱく質エネルギー比が50%を占めており、高たんぱく質の影響が懸念された。しかしながら、これまでに報告されている若年マウスを用いた高たんぱく質食投与の研究では、たんぱく質エネルギー比50%以上の高たんぱく食を投与しても、マウスが死滅するようなことは報告されていなかった。また、食欲低下誘導に用いたシスプラチンは、腎障害などの副反応を起こすことが報告されている。これらのことから、今回の2実験での全個体脱落の原因が、高齢によるものか、あるいはシスプラチンの投与によるものかを検討する必要性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1および実験2において、生存率・摂食量・体重変化などの生体データの取得と解析はできたが、SARS-CoV2蔓延による緊急事態宣言の発出によって自宅待機を余儀なくされ、さらに実験中には群の全個体が脱落するなどの予期せぬ事態が発生したため、屠殺後サンプルの解析がほとんど進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の2実験でみられた、高たんぱく質食投与による全個体脱落の原因を解明することを目的に、2年目はシスプラチンを投与していない高齢マウスに、高たんぱく質・低脂肪・低炭水化物食、高たんぱく質・高脂肪・低炭水化物食、高たんぱく質・低脂肪・高炭水化物食の3種類の高たんぱく質食を投与する実験を行う(実験4)。また、実験1および実験2、実験4の屠殺後サンプルの解析を行い、エネルギー産生栄養素のバランスを検討した後、効率よくサルコペニアを予防できると考えられる最適な栄養素バランス食を用いて実験3を実施する。
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Causes of Carryover |
今年度はSARS-CoV2蔓延による緊急事態宣言の発出によって自宅待機を余儀なくされ、屠殺後サンプルの解析がほとんどできなかった。 次年度に持ち越した助成金は実験1、実験2の屠殺後サンプルの解析と、新たに検討する必要性が検討された実験4に使用する予定である。
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