2023 Fiscal Year Annual Research Report
外来がん化学療法患者に対するQOL向上を目指した栄養療法の確立に向けて
Project/Area Number |
20K19660
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
三宅 沙知 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (80633859)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん患者 / 外来化学療法 / 栄養介入 / 栄養評価 / PG-SGA / SMI |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法患者への早期栄養介入は患者のQOLおよび予後の改善に寄与する。本研究は、外来がん化学療法患者に対するQOL向上を目指したより効果的な栄養介入の確立を目的とし、PG-SGAによる栄養評価を実施した。外来がん化学療法患者の約90%以上が、重度または中等度の低栄養と判定され、栄養介入もしくは症状のモニターが必要な状態であった。今年度は、世界のコンセンサスを得ている低栄養診断基準であるGlobal Leadership Initiative on Malnutrition (以下、GLIM)との比較を行い、その有用性を検討した。 PG-SGAで重度の低栄養と判定された患者の中で、GLIM基準において重度と診断されたのは約10%であり、中等度の低栄養と判定された患者は4%未満にとどまった。外来がん化学療法患者を対象とした栄養評価には、副作用などの症状が詳細に加味されるPG-SGAが有用であることが示唆された。さらに、管理栄養士による栄養介入は、がんの疾患部位に関係なく、骨格筋減少を含む体重減少抑制、食事摂取量の確保に貢献した。その効果は、抗炎症作用を持つとされるEPA、アミノ酸代謝産物等の摂取量に関連はなく、早期介入かつ介入頻度が多いほど保たれる傾向にあった。特に栄養評価は、SMI(四肢骨格筋量)などの体成分分析等の所見とよく相関していたことから、体重減少などの重度の栄養不良に陥る前の指標となり得る可能性が示唆された。外来がん化学療法患者に対する栄養評価には、より早期介入を可能とするPG-SGAを使用し、栄養障害の有無に関わらず、外来通院時の定期的な栄養評価および栄養指導が化学療法継続のために重要であると考えられた。
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