2022 Fiscal Year Research-status Report
「生活活動の多様性」は健康寿命延伸における新たな評価概念となり得るか
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20K19664
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
高橋 淳太 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20838388)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フレイル / 生活活動 / 多様性 / 地域在住高齢者 / 縦断研究 / お達者健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高齢者における生活活動の多様性に着目し、生活活動多様性を評価するための評価指標の開発と、生活活動多様性と要介護状態の前駆状態であるフレイルとの関連を横断的・縦断的に検討することを目的とした。計画3年目となる本年度は、昨年度実施した縦断研究の結果を解析し、研究成果として論文発表を行った。 板橋区フィールドにおける地域在住高齢者を対象とした会場調査の結果を基に、社会人口統計学的因子と心身機能因子を調整したロジスティック回帰分析を行い、フレイルの発生と生活活動多様性の関連について解明した。フレイルの判定は日本版Cardiovascular Health Study(J-CHS)基準を用い、生活活動多様性の評価は初年度に作成した生活活動多様性評価票(Activity Diversity Questionnaire)を使用した。 ベースライン調査の参加者が769名、その内除外基準により443名が除外された(データ欠損:111名、J-CHS基準該当数≧1:332名)。2年後の追跡調査の追跡不能者は119名であった。最終解析対象者は207名(年齢中央値:73 (範囲65-89)歳、女性:125 名(60.4%))であった。最終解析対象者の内、健常群が143名(69.1%)、フレイル群が64名(30.9%、プレフレイル;62名、フレイル;2名)であった。生活活動の多様性スコアが2年後のフレイル発生に関与することが確認され、そのオッズ比はそれぞれ0.61であった(多様性スコアを標準化したのちにモデルに投入)。以上より、生活活動の多様性はフレイル発生のリスク因子であり、生活活動の多様性を維持することが高齢者の介護予防において重要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り縦断研究を行い、その成果を論文にして発表することができた。そのため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者の介護予防において、生活活動の多様性の重要性は示せたものの、実際に地域在住高齢者の生活活動の実施パターンは不明である。今後は地域在住高齢者における生活活動の実施パターンおを解明し、介護予防の具体的介入策の開発につなげる予定である。 なお、今後の研究に関しては既に取得しているデータで解析可能なため、主にデータ解析や学会発表、論文作成などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、実施予定であった一部の調査や学会発表等が行えなかったため、次年度使用額が発生した。
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