2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性脳低血流がアルツハイマー病に及ぼす影響と抗酸化機能食品による保護的効果の検討
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20K19666
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(臨床研究部(成育)、臨床研究部(循環器)) |
Principal Investigator |
福井 裕介 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(臨床研究部(成育)、臨床研究部(循環器)), 小児ゲノム医療研究室, 研究員 (60824802)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 慢性脳血流低下 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、慢性脳血流低下による酸化ストレスから認知機能障害へ至る経路について経時的解析を行い、ADの新たな予防法・治療法開発の可能性について検討する。具体的には、①慢性脳低血流モデルマウスの酸化ストレス動向と認知機能の評価、②慢性脳低血流を負荷したADモデルマウスの酸化ストレスの動向がAD病理および認知機能に及ぼす影響について、③抗酸化作用を示す高機能食品成分摂取による予防的な酸化ストレス抑制が上記マウスのAD病理および認知機能に及ぼす影響ついて の3点について検討を行う。 2020度はameriod constrictorsを野生型マウスおよびADモデルマウス(APP23)の総頸動脈に装着し、約1ヶ月をかけ40%程度脳血流量を低下させた慢性脳低灌流モデルマウスを作成し、8方向放射状迷路試験を用いて上記マウスの空間作業記憶・空間参照記憶の経時的変化について解析した。ADモデルマウスは脳血流量低下により通常よりも早い空間認知機能および血中酸化ストレス度の増悪を認めたが、このような悪化が高機能食品成分プラズマローゲンの摂取により一時的にではあるものの改善されることがわかった。さらにプラズマローゲンの抗酸化作用を調べるためにその病態に酸化ストレスの深い関与が示されている一過性脳梗塞モデルマウスを作成し、プラズマローゲンを投与したところ血中の酸化ストレスの上昇や脳内の酸化ストレス関連タンパク質(4-HNE)の蓄積及びミクログリアの炎症を抑制する効果があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に予定していたモデルマウスの作成及び行動解析が遅滞なく進み、さらに当初予定していなかったプラズマローゲンの効果の検討を他のモデルを用いて行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、行動解析が終了したマウスのサンプリングを行い、AD病理形成に関わる因子(Aβ, タウ, BACE1)とミトコンドリア機能関連タンパク質(Tom20, MFF, Mitofusin-1, Mitofusin-2, OPA1, DRP1)、炎症性マーカータンパク質(Iba-1, TNFα, MCP-1, SirT-1)、オートファジー関連タンパク質(HSP70, BAG1, BAG3, P62, ubiquitin, LC3)の変化をWestern Blotting法・ELISA法・免疫組織化学により解析し、その関係性について精査する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった消耗品の一部を院内研究助成金で賄うことができたため支出を抑えることができた。 本年度は慢性脳血流低下に伴う酸化ストレスと、ミクログリア活性化を介した脳内炎症・認知機能低下について追加検討を行う予定であり、そのための抗体、遺伝子解析キットなどの消耗品を購入する。
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Research Products
(3 results)