2022 Fiscal Year Annual Research Report
GIPによる脂肪組織ChREBP発現調節機構に注目した肥満治療法の開発
Project/Area Number |
20K19673
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
劉 彦言 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 研究員 (10845796)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食べる順番 / 食後血糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病の発症や重症化予防に向け、インクレチン分泌機序及びインスリン抵抗性を改善する新規治療開発の重要性が増している。しかしながら、インクレチン関連薬などの薬剤の開発などには限界があり、日常生活の食事や食品からインクレチン分泌を促進する新しいアプローチが期待されている。最近、岐阜大学の矢部教授らは「食べる順番」の有効性臨床試験の結果を発表した。魚やお肉を米飯の前とする摂食順番が米飯摂食後の血糖上昇を著しく抑制すること、さらに胃内容物の排出時間が著しく遅延し、GLP-1やグルカゴンの分泌が促進されることを見出している。この有益な効果はどのような代謝経路が活性化され、科学的な根拠がなく、メカニズムの解明が急務である。 本申請では、マウスモデルを用いて「食べる順番」の効果発現メカニズムを解明し、栄養素の暴露順序がインクレチンの分泌に与える影響や代謝経路を検討すると共に分泌変化の分子機構を検討する。 結果としては、モデルマウスに対して、ブドウ糖に先んじてオリーブ油を投与することで、インクレチン分泌促進、胃排出遅延、血糖上昇抑制を認めた。また、他脂肪酸においても、同じような結果が得られました。一方、GLP-1受容体拮抗薬やグルカゴン中和抗体を単独投与する場合では、オリーブ油前負荷の血糖改善効果を障害することがなかった。また、両者を同時に投与場合及びグルカゴンノックアウトマウスにおいては、オリーブ油前負荷による血糖の改善及び胃排出の遅延が認められなかったことから、「食べる順番」の効果発現機序がGLP-1とグルカゴン両者を介すると示唆された。 栄養素の暴露順序や栄養素の組成が血糖及びインクレチンの分泌に与える影響や代謝経路を検討すると共に分泌変化の分子機構を検討することによって、糖尿病の発症・重症化抑制に対する「食べる順番」の有用性を科学的根拠に基づき啓発することが可能となる。
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Research Products
(1 results)