2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢化が加速した大規模団地における栄養食生活支援を通じた地域コミュニティづくり
Project/Area Number |
20K19679
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
高田 健人 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 講師 (70773000)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者 / 低栄養 / 地域コミュニティ / 大規模団地 / 食生活支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会にある我が国において健康寿命の延伸は喫緊の課題となっている。申請者らは、高齢化率が60%を超える大規模公営団地において、食環境の改善に主眼を置いた地域コミュニティの形成を推進しており、社会参加の機会減少と食環境の空疎化が低栄養ならびに死亡と要介護認定のリスク要因であること、また、単発的な栄養相談は継続性が低く、さらに潜在的リスク者に対するアウトリーチが課題として浮かび上がった。これら一連の研究成果を踏まえ、本研究では4か年計画により、質問紙調査、健康寿命アウトカム調査、通いの場の開催、訪問栄養相談、他団地への展開を段階的に推進する総合的栄養食生活支援による地域コミュニティづくりを展開している。
本研究は、超高齢化地域における介護予防の取り組みのモデルとして、より多くの高齢者が住み慣れた地域で安心して充実した生活を送ることのできる持続可能な地域社会づくりに寄与することが期待される。しかし2021年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大が前年から継続して繰り返されており、前年度に引き続き自治会等によるイベントやサークル活動、コミュニティカフェの運営は軒並み中止となっている。したがって、当初予定していた通いの場の開催、個別の栄養相談は実施できない状況である。
これを踏まえ、本年度は新たな様式による研究推進を模索しており、その一端としてオンラインシステムを活用した食事相談、免疫力チェックの試験的実施を行っている。参加者から今後の食生活の改善に繋ぎたいとの感想が聞かれたが、利用者は月に数名程度と低調であった。今後の方策として、リスク管理を行いつつ自治会等と協力しながら可能な限りイベント等で直接チラシを配布するといった取り組みを検討している。食事相談は定期的かつ継続的に参加してもらうことで食習慣への反映、健康行動の維持が期待されるため、参加者数とともに継続率の向上が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大が前年から継続して繰り返されており、前年度に引き続き自治会等によるイベントやサークル活動、コミュニティカフェの運営は軒並み中止となっている。したがって、当初予定していた通いの場の開催、個別の栄養相談は実施できない状況である。そのため「遅れている」とした。 また、市に協力を依頼する予定であった実態調査も人手の面から延期せざるを得なくなり、現在実施日程を調整している。 現時点ではオンラインシステムを活用した食事相談、免疫力チェックの試験的実施を行っている。また、地域在住高齢者の低栄養やフレイル対策にかかわる資料、文献の収集および新型コロナウイルス感染症下における地域コミュニティ支援に関する先行事例等の収集を進め、次年度以降の新たな取り組みについて検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症下における新たな地域コミュニティ支援について方法を検討していく。これまで行ってきた共食を伴う通いの場の開催は今後も困難であると考えられる。しかし、外出の機会が乏しい高齢者においては知人や友人と会うことがフレイル対策においてはとても重要であるため、感染症の状況を踏まえ、対策を徹底したうえで可能なことを自治会などと検討していく。 なお現時点では神奈川県立保健福祉大学の地域貢献研究センター所属の管理栄養士とともに、オンライン会議システムを活用した遠隔の食事相談を実施しており、当該地域の診療所の協力を得て定期的に食事相談会を行うことを予定している。これにより、閉じこもりがちであったり人と会うことに不安を感じている地域高齢者との接点を増やし、徐々にではあるが栄養食生活支援を通じた地域コミュニティの再生を進めていくことを目指している。 また、低栄養やフレイルに関する実態調査を2022年度中に実施し、過去に行った調査結果と比較することで新型コロナウイルス感染症の影響や高齢化のさらなる進展による影響を踏まえて結果を分析していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、当初実施予定であった実態調査、通いの場の開催が不可能であり、それにかかわる調査関連費用、旅費(学会参加含む)の執行ができなくなったため、次年度使用額が生じた。 次年度では新たな生活様式を踏まえた施策を推進する。これにかかる費用として、実態調査のための消耗品やオンラインを活用した栄養食事相談のための機材および人件費を執行していく予定である。
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