2021 Fiscal Year Research-status Report
皮下脂肪の糖代謝を高めるメカニズムおよび栄養学的手法の解明
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20K19680
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
谷口 祐一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (00782757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 褐色脂肪 / 熱産生ホルモン / 皮下脂肪 / FGF21 / インスリン抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮下脂肪のインスリン抵抗性が、肝内脂肪などの異所性脂肪の蓄積につながり、糖尿病のリスクとなることが知られている。一方で、皮下脂肪の糖代謝を高めるメカニズムおよび手法については知見が不足している。 申請者らはこれまでに、脂肪組織の糖取り込みを高めるホルモンFibroblast Growth Factor 21(FGF21)の作用不足が、異所性脂肪の蓄積につながることと、肝機能を高める食品が、FGF21の分泌反応性を正常に保つことを明らかとしている。 初年度は、肝機能低下の予防効果を持つ大豆たんぱく質が、FGF21の分泌動態に及ぼす影響を検証し、習慣的な大豆たんぱく質摂取によって、血中FGF21濃度が活動期において低値を示し、睡眠期に高値を示す、大きなFGF21分泌リズムにつながることを確認した。 研究計画2年目である本年度は、肥満モデル動物およびヒト成人を対象として、糖質摂取によるFGF21分泌の促進が、脂肪組織の褐色化に及ぼす効果を検証した。 動物実験において、FGF21分泌を促進するスクロースを豊富に含む食餌を肥満ラットに与えたところ、脂肪組織の褐色化を誘導する遺伝子に変化は認められず、むしろ肝内脂肪量と血糖値が高値を示したことから、肥満時のスクロース摂取によって糖・脂質代謝が低下する可能性が示唆された。 次に、食事による一時的なFGF21分泌が、ヒト脂肪組織の褐色化を促進する作用をランダム化クロスオーバー試験により検証し、フルクトース摂取によりヒト成人男性の血中FGF21濃度が有意に増加することを確認した。今後、脂肪組織における熱産生量との関係解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進捗している。研究計画2年目である本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により遅延した初年度の研究課題を継続し、新たにヒトを対象とした介入試験にも着手した。 研究計画最終年度である来年度は、これまで獲得してきたデータの解析・整理により研究成果を公表するとともに、ヒトを対象としたランダム化比較試験を実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は概ね順調に進捗しているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の解析作業が遅延している。遅延が認められる項目については、次年度も解析を継続し、計画の完遂を目指す。 また研究計画最終年度に予定している、ヒトを対象とした介入試験は、新型コロナウイルス感染症の感染状況を注視して、実施の可否を決定する。
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Causes of Carryover |
研究計画は概ね順調に進捗しているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の解析作業が遅延したため次年度使用額が生じた。 次年度に未実施の項目について継続して取り組むことにより、本年度の残額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)