2021 Fiscal Year Research-status Report
りんごポリフェノールによるPGC-1α非依存的なミトコンドリア生合成経路の解明
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20K19688
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
吉田 裕輝 日本体育大学, 保健医療学部, 研究員 (10870248)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | apple plyphenol / rat / mitochondria |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではりんご由来ポリフェノールの摂餌が筋持久力の向上するメカニズムを解明するため、ミトコンドリアに着目した。筋持久力向上にはアデノシン三リン酸(ATP)産生に必要なミトコンドリア量の増加や機能の向上が重要であると考え、その機能や生合成に関与する分子群を分析することを目的とした。りんご由来ポリフェノールが筋持久力向上を引き起こすメカニズムを解明することで、生活習慣病罹患のリスクを低減させる可能性や、怪我や疾病といった健康上の問題により十分に運動ができない人々への有用性を検討している。 前年度までの研究では、ラットを対象とし、通常食を与える対照群、0.5%りんご由来ポリフェノール含有食を与える0.5%AP摂餌群、5%りんご由来ポリフェノール含有食を与える5%AP摂餌群の3群にわけて、各群の食餌摂取量をあわせるPair-Feeding法を用いて4週間飼育を行った。その後、麻酔科で腓腹筋を摘出し、生化学実験に用いた。 今年度は、凍結保存しておいた腓腹筋組織を用い、核DNAに対するミトコンドリアDNA量をPCR法を用いて分析することでミトコンドリア量を比較した。また、電子伝達系の複合体を構成するタンパク質であるOXPHOSをウェスタンブロッティング法により分析した。さらに、ミトコンドリア内膜の電子伝達系に関わる因子を分析した。 その結果、ミトコンドリア量は各群間で有意差は認められなかった。しかし、りんご由来ポリフェノールを摂取した群では、ATPの合成効率が上昇している可能性を示唆する結果を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に続き新型コロナウイルス感染症による影響で実験が遅れた状態が続いてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
りんご由来ポリフェノール経口摂取による筋持久力向上のメカニズムの一端として、ミトコンドリア量の増加が生じると考えていた。クエン酸合成酵素の活性はミトコンドリア量と相関関係にあることが知られていおり、本研究においてりんご由来ポリフェノールを摂取した群でクエン酸合成酵素の活性が上昇する結果を得ていた。しかしながら、ウェスタンブロッティングによるOXPHOSの分析結果や、核DNAに対するミトコンドリアDNA量の比率を分析した結果において、コントロール群と比較して有意な増加を示さなかった。そのため、ミトコンドリア量の増加は生じていないと結論付けた。 ミトコンドリア呼吸鎖複合体の酵素活性を測定した実験では、りんご由来ポリフェノールを摂取した群で有意に酵素活性が上昇していることから、量の増加ではなく、電子伝達系におけるATP合成効率が向上しているのではないかと考えられた。 ミトコンドリア量の増加メカニズムを分析していく予定であったが、今後は機能面に着目して、多角的に評価していくこととする。
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Causes of Carryover |
コロナの影響から予定していた実施権を行えておらず、計画がずれ込んでいることが大きな理由として挙げられる。 今年度、実験を実施していくように進めていくことが重要であるが、難しい場合は延長させていただき、研究を進めていくことも検討しなければならないと考えている。 また、当初はミトコンドリア量の増加を予期し、そのメカニズムを分析していくことを念頭において計画を立てていたが、量は増加していない可能性が高いと考えられる。しかし、ミトコンドリア機能の向上が筋持久力向上を引き起こしている可能性が考えられるため、機能面の分析を行っていくこととし、その実施権の為に経費を使用していくこととする。
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