2023 Fiscal Year Research-status Report
りんごポリフェノールによるPGC-1α非依存的なミトコンドリア生合成経路の解明
Project/Area Number |
20K19688
|
Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
吉田 裕輝 日本体育大学, 保健医療学部, 期限付一般研究員 (10870248)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | apple polyphenol / rat / mitochondria / mitophagy |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではりんご由来ポリフェノールの摂餌が筋持久力の向上するメカニズムを解明するため、ミトコンドリアに着目した。筋持久力向上にはアデノシン三リン酸(ATP)産生に必要なミトコンドリア量の増加や機能の向上が重要であると考え、その機能や生合成に関与する分子群を分析することを目的とした。りんご由来ポリフェノールが筋持久力向上を引き起こすメカニズムを解明することで、生活習慣病罹患のリスクを低減させる可能性や、怪我や疾病といった健康上の問題により十分に運動ができない人々への有用性を検討している。 前年度までの研究では、ラットを対象とし、通常食を与える対照群、0.5%りんご由来ポリフェノール含有食を与える0.5%AP摂餌群、5%りんご由来ポリフェノール含有食を与える5%AP摂餌群の3群にわけて、各群の食餌摂取量をあわせるPair-Feeding法を用いて4週間飼育を行った。その後、麻酔科で腓腹筋を摘出し、生化学実験に用いた。そしてAP経口摂取により、ミトコンドリア生合成に関与する因子が増加し、さらにマイトファジーが亢進してる可能性を示唆した。しかしながら、ミトコンドリア量に変化は認められなかった。分解と合成のバランスにより、ミトコンドリア量に変化はないものの、ミトコンドリア新陳代謝が活性化されることで、筋持久力の向上に影響を及ぼしているのではないかとの考えに至った。 そこで、今年度はミトコンドリア呼吸差複合体の酵素活性に着目した。呼吸差複合体の酵素活性を測定することで、ミトコンドリアの機能向上による筋持久力への貢献を示すことを目的とした。その結果、複数の酵素活性は増加するという結果を得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による影響で遅れた状態が続いている。 通常の研究活動を取り戻し、進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
りんごにはさまざまなポリフェノールが含まれている。そこで、筋持久力向上に影響を及ぼしているポリフェノール成分を同定することも重要であると考える。 りんごに含まれるポリフェノールで含有量の多いのは、プロシアニジン(約45% w/w)、フェノール酸(約25% w/w,主にクロロゲン酸)、フラバン-3-オール(約15% w/w)、フロレチングリコシド(約10% w/w,主にフロリジン)である。これらを候補として、どの成分が筋持久力向上に影響を及ぼしているか調査していくことを今年度の課題としたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による影響で遅れていることが理由の一つとして挙げられます。 また、りんごポリフェノール経口摂取による骨格筋ミトコンドリア生合成経路についての研究を行っていたが、予想に反してミトコンドリア量が変化がないという結果となった。そのため、ミトコンドリアの分解、マイトファジーに焦点を当てて研究を行ったため、購入した薬品等に変化があったことが挙げられます。また今後、りんごに含まれるポリフェノールのどの成分が筋持久力向上に寄与するかを検討したく、その研究に必要な物品、試薬等の購入をしたいと考えています。
|